烏の群れの中で
□センパイだ!
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「俺の後頭部にサーブをブチ込む以上に怖いことってー…なに?」
移動中日向が龍の股間で嘔吐したり、
潔子先輩が緊張マックスの日向にトドメを刺してしまったり、
終いには影山の後頭部にサーブを打ち込むというハプニングだらけで青葉城西から1セット目を取られてしまった。
影山に怒鳴られた日向は龍に呼ばれている。
「お前が下手糞なことなんかわかりきってることだろうが!」
『…龍、止めますか?』
「あ、うん。たぶん大丈夫」
「そ、そう…」
顧問の武田先生が心配そうに見ている。
「ネットのこっち側に居る全員もれなく味方なんだよ!!」
『っ!』
「下手糞上等!迷惑かけろ!足を引っ張れ!それを補ってやるための!…チームでありセンパイだ!」
「田中先輩!!」
「…先輩って呼ばれたいだけだなアレ」
「うん…でも田中が居て助かった…」
澤村、菅原は顔を見合わせホッとしている。
『…ネットのこっち側にいる全員』
味方、か。
繋ぐことが命のバレーだもん。そうだよね。
〈何でななしなの!!〉
〈試合できないじゃない!〉
「…−い、おい。ななし」
『っはい。すいません…』
いつの間にか試合が始まっていて、
スガさんに呼ばれていたらしい。
「どうかした?具合悪い?」
『い、いえっ…ちょっと考え事してました…』
「そっか。大丈夫ならいいけど…」
今、私がいるのは“あの場所”じゃない。
だから、大丈夫。