烏の群れの中で

□及川さんとは顔見知り
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『試合、勝ちましたね』
「でも、武田先生はああ言ってくれたけど」
『けど…』
「いくら日向と影山が優秀でも、正直周りを固めるのが俺達じゃあまだ弱い。…悔しいけどな」

練習試合が終わり
ぞろぞろと帰るために校門まで歩いている。

「おぉ〜さすがキャプテン!ちゃんとわかってるね〜」

そこにはすでに及川さんが立っていて、
なんとなく私は大地さんの後ろに隠れるようにした。

「ちっちゃい君、最後のワンタッチとブロード凄かったね!」
「あっえっエヘヘ」
「次は最初から全開で戦ろうね。もちろんサーブも磨いておくからね」
「「!」」

確かに…
及川さんが最初から居たら負けていたと思う。
あのサーブとセットアップ…

「全ての始まりのレシーブがグズグズじゃあすぐ限界が来るんじゃない?」

淡々と烏野の弱点を突かれる。

「俺はこの―、クソ可愛い後輩を公式戦で同じセッターとして正々堂々叩き潰したいんだからサ」

ホント、影山に対して敵意丸出しだなー。

レシーブなら特訓するって日向が言ってたけど、
そう簡単にレシーブは上達しないんだよねえ。

「大会までもう時間はない。どうするのか楽しみにしてるね」

その言葉を言いながら大地の傍へ歩いてくる。
あ、なんかヤバい…。

「でも、その前に!どうしてななしちゃんが烏野にいるのカナー」
『…お久しぶりです。』

やっぱり駄目だったか…

「なっ…ななしが知り合い、だとっ!?」

変な勘違いをした龍は思考停止。

「ていうか何で!マネやってるの?!俺何にも聞いてないよ?!」
『何で及川さんに言わないといけないんですか…』

及川から距離をとろうと後ずさりしていくが、
とらせないと距離を詰めようとする及川。

「お、おいななし…」

大地が心配そうに声をかける。

『どこに進学しようと及川さんには関係ないじゃないですか』
「もし、マネやるなら青城にって誘ったんだけど!」
『あれ、初耳ですけど。」
「酷いっ!…ななしちゃんほどの子がマネやってくれることほど嬉しいことはないよ!」
『そうやって女子を勧誘してるんですか…』
「してないよ!」

大地さんこの男をとっ捕まえてほしいです。

「それに…てっきり白鳥沢に行ってるものかと思ってたし。」
『…』
「どういうことか説明、したのカナ?」

及川の声のトーンが低くなった。

「ちゃんと教えてほしいよね。俺たちの仲でじゃん」
『…どんな仲でしょう。私、及川さんは顔見知り程度ですが』
「ちょっと!…もしかしてだけど」

ななしの耳元に口を近づける。

「烏野は知らないのカナ。ななしちゃんがバレーを辞めた理由」
『…ええ。一人を除いては』
「ふ〜ん。まあ、俺も噂でしか知らないけどね〜」
『…噂ですか。一体どこからでしょうか』
「そりゃ、ななしちゃんほどの選手だもん。色んなところから。」
『それはどんな噂か気になりますね』
「教えてあげよっか?」

『及川さん、前向いてみてください』
「ん?前?」

ドゴッ…

「!!」
「及川てめえ何してやがる!!」
「ゲッ…岩ちゃん!」

及川さんの顔面目掛けてスパイクを放ったのは岩泉さん。
きっと探しに来たんだよね。
ご苦労様です。

「練習サボって何してやがる!」
「さ、サボってないよ!」

『岩泉さんお久しぶりです』
「おう、ごんべ迷惑かけたな」
「ななしちゃん、俺と岩ちゃんの態度違くない?」
『そうですね、岩泉さんとはよく連絡しますし』
「えっ!?岩ちゃんの連絡先知ってるの!?」
『え、はい。』
「あ?そりゃそーだろ。知らないのお前だけじゃねえか?」

二人でギャアギャア騒ぎ始めた。

「とにかく戻るぞ!クズ川」
「ちょ、待ってまだななしちゃんに」
『岩泉さん練習頑張ってくださいー』
「おう、またな」
「ななしちゃん!ちゃんと今度教えてよね!!」

『ご迷惑、おかけしました。』

やっと解放されたななし。

「ななし、おまっ…あの男と」
『付き合ってないよ、龍。変な勘違いやめて』

に、しても。
メンバー勢ぞろいしてるのにあの話振るのはやめてほしかった

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