烏の群れの中で

□今の精一杯
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「全然ジャンプできてないんじゃないですかっ!?」

旭さんのスパイクの後、ノヤの言葉が飛ぶ。

『ノヤ、嬉しそう…』
「ななしも嬉しそうだよ」

潔子さんが私の呟いていた言葉を拾う。

『やっぱりエースですから、旭さんは』
「うん、そうだね」

また、みんなと一緒に練習してくれるのがすごく嬉しい。

自分の手にしているノートに旭さんの名前を記入する。
潔子さんが付けているノートとは違う、
選手たち一人一人のその日の動き方、弱点を記入していくノート。

今の私に出来ることはちょっとしたアドバイスしかない。
コートに立つことも
スパイクを打つことも
トスを上げることも、今は出来ない。

せめて練習や試合を観て
弱点だったりを選手に教えてあげる事が精一杯。

だからこのノートはすごく大切なものだ。


「スゲーじゃねぇか翔陽!」

日向・影山の速攻を初めて目にした
町内会チーム、鳥養監督。

そういえば旭さんとノヤも初めてだったっけ。

「今なんでそこに飛んでた!?ちんちくりん!!」
「どっ…どこに居てもトス来るから…です」

あの二人の速攻何てどこのチームでも見られるものじゃないと思う。
驚くのも無理はない。

影山の技術と日向のスピードが上手く組み合わさって良かった。

『…あ、私ボトル替えてきますね』

全部試合見たいけど
そもそも私はマネージャーであって
そっちの仕事の方が優先だ。

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