恋を知りました

□自分でも驚き
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昨日、ジャージを貸してもらってよかったと思う。
教室に戻る途中先生とすれ違うことになったんだもの。

これが制服だったらあのまま指導室行きだったんだろう


後、すっごく今更だったこと、
どうやら私と岩泉くんは隣の席だったということだ。
周りなんて気にしてなかったら全くわからなかった。
…ちょっとは周り見よう。

問題なのはこのジャージをいつ返そう。
いくら隣の席だからと言って
人がたくさんいるのに話しかけれない。
…絶対不振に思われるし、岩泉くんにとっても迷惑だろう。


考えた結果、放課後人がいなくなったら置いて帰ることにした。

…したんだけど。

「お、やっぱりいたな」
『…岩泉くん』
「いつもここにいるんだなー」

昼休みになったので、
定位置になりつつある非常階段でご飯を食べていたら
岩泉くんが…来た。

『…何か御用ですか』
「おう、俺のジャージ持って出たからここに来たら返してくれんのかと」
『……見てたんですか』
「まあ、隣だしな」

私の机に置いておくと
誰かに捨てられたりするから持って出たんだけど…。

『……ジャージ、ありがとうございました。おかげで助かりました。』
「おう、そうか」
『…後これ、つまらないものですがお礼です。』


一緒に持ち歩いていたラッピングのされたクッキーを渡す。


「……ごんべが作ったのか」
『え、まあ、はい。嫌なら捨ててもらって構いません』
「…いや、なんか意外だと」
『…意外、ですか』
「だってお前、わざわざ自分で作るようなタイプに見えねえから」
『…』

確かにそうだけど。
そもそも、ジャージだって別に好きで借りたわけじゃ…

「ま、これは有り難くいただくな」
『…どーぞ』

じゃあな。と去っていく岩泉くん。


私自身も正直ちょっと驚いてる。
どうして自分で作ろうと判断したのか。

お礼するなら購入したものでもよかったはずなのに。


それに、岩泉くんとまともに話せてるのも驚きだ。

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