恋を知りました

□大丈夫じゃない
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「じゃあ、男女一組ずつでペア組んでー」


そう言われたのがさっき。
課題を作るためのペア決めらしい。


女子だけのグループですら作れないのに、
男女ペアなんて不可能だ。

一体どうしろというんだ……


「なあ、ごんべ」
『…はい?』
「組む人決まってないんなら、一緒に組むか?」
『……』

と、私に言ってきたのは
最近ちょくちょく話しかけてくる岩泉くん。

ジャージの恩があるので、
一応それなりの返答はしていた。

「それとも決まったのか?」
『あ、いや。決まってないですけど』
「じゃ、いいだろ?」
『まあ、はい…』

全く知らない人と組むよりはいいか。
一応、隣の席だし。


「岩ちゃん、俺ってばモテすぎちゃって中々決まらっ!いたいっ!」

言い終わらないうちに手が出る岩泉。

「僻みはよくないよ!」
「僻んでねえよ。俺、決まったし」
「っ!?誰!?」
「ごんべ」
「ちょ、なんで!いつの間にそんな中に!!」
「関係ねえだろ」
「ねえ!ごんべさん!何で!」

『……』

ちょっと本当にやめて。
ここで私の名前出さないで。
あーほら、視線刺さる。

「無視っ…」
「ざまあ」

及川さんは不貞腐れながら女子の元に
本当、あの人苦手だ。

「何か、悪かったな」
『……はい。あの、何で私とペア組むんですか?』
「そりゃ、隣にいるからだろ」
『…そう、ですか』


私みたいな人間に話しかけるのは何で。
と、聞きたいけどここで聞くようなことじゃない。

「あ、ごんべ。」
『はい…?』
「俺、この前の授業寝てたからノート取ってねーけど大丈夫か?」
『…大丈夫じゃない』

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