恋を知りました

□カップケーキ
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今日の調理実習で作ったカップケーキを手に馴染みの非常階段に。

いつもとは違い、キレイにラッピングさせている。

『…誰にもあげないのに。』

先生が突如ラッピング用の可愛らしい袋やらなんやらを持ち出し、女子たちに告げた。

「一個だけラッピングして男の子達に渡しましょう」

意味がわらない。
誰かが聞いたら「たまには面白くていいじゃない」と返されたそうだ。
面白くないよ。

こうして現在、私の手にはカップケーキ。
自分で食べるのにラッピングなんて虚しい。

「…やっぱり今日もいるんだな」
『…どうも』

相変わらずちょこちょこ現れる岩泉くん。

「ごんべも誰かにあげるのか」
『ごんべも、とは』
「それ、及川がたくさんもらってやがった」
『…あー』

さすが及川さん。
一体どこがいいのか解らない。

『…私は渡しませんよ』
「なんだ、そうなのか」
『…何ですか』
「…いや、美味そうだなと」
『……食べますか』

お昼ご飯だけでは満足出来なかったらしい。
育ち盛りの男子の胃袋とは一体…

「サンキュー。」

私からカップケーキを受け取り
その場に座り食べ始まる。

『…教室、戻るんじゃ…』
「誰に貰ったか聞かれるのうるせえ」
『あー…はい』

たぶん、及川さんにだろう。
ただ、私としては困る。

「この前のもそうだけど、美味い」
『…どーも』

困る、はずなんだけど。

『…あの』
「なんだ?」
『…どうして私に関わるんですか。』

他に人もいないし、聞いてみよう。

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