恋を知りました

□俺にだけ(side岩泉)
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「そういえば、岩泉」
「お?」
「お前最近、昼食った後いなくなること多いな」
「あー、まあ」

いつも学食を一緒に食べている花巻・松川・及川。
今日も四人で食べていると花巻が口にした。

「何やってるんだ?」
「…大したことじゃねえよ」
「まさか、彼女出来たとかじゃねーよな」
「まさか」

松川に茶化される。

「ちょっと!岩ちゃんに彼女なんて出来るわけないジャン!いたいっ!」

反射的に手が出る。

「昨日別れたばかりのお前に言われたくねえよ」
「あ、岩ちゃんそれっ…」
「え、何。別れたの?」
「聞いてないぞー」

どうやら花巻、松川には言っていなかったらしい。

「馬鹿にされるから言わなかったのにっ!」
「いつものことだろ」

及川の泣き真似はシカトする流れだ。

「…で、結局岩泉は何してるわけ?」
「俺の話も聞いて!」

松川が話を戻してきた。

「だから、なんでもねえよ」

ごんべに会いに行ってるなんて、
言えるわけがない。
特に、及川がいる前で。

とりあえず、目の前のカツ丼を口の中に掻き込む。

「次はさー、ごんべさん狙ってみようかなー」
「ごんべさんねー…花、去年同じクラスじゃなかった?」
「あー…話してないからな。美人だとは思うけど、勿体無い」
「そこがいいんじゃーん?好きな人の前では違うかもしれないとか妄想が膨らむジャン!」

思わず飯を食べている手が止まる。
そのせいか俺に視線が集まった。

「……お前、あいつにシカトされてるじゃねえか。」
「俺だけじゃないし!」
「あー及川でもダメか」

花巻、松川がケラケラ笑う。
とりあえず誤魔化せたらしい。

「ってか、岩ちゃんと会話してる方が謎なんだけど。」
「え、まじか」
「岩泉、何した」
「…何もしてねえけど」

俺に話を振るな。
一応考える様な素振りしとけばいいか。

「一年の時も何人か声はかけてた気はするけど、目線すら合わせてなかった気が…」
「でしょー?なのに何で岩ちゃんは不愛想だけど会話できるのさー」
「だから俺に聞くな」

俺と一応目を見て話してくれるのは
何時教師にチクるかとか心配してるからだろう。
それをこいつらに説明することはしないし、出来ない。

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