short

□名前
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『岩ちゃんって呼ぶのは及川だけなんだね』
「あ?なんだ急に」
『ふと、思ったのさー』

そうだよね。
こんな怖そうに見える人にちゃん付なんかしないか…
あ、でも怖さで言えば烏野のエースが桁違いだ!

「お前…烏野の3番の方が怖いとか思ってんだろ…」
『まじかっ…バレてる』
「んで、なんなんだよ?急に」
『岩泉ってみんな呼ぶからさー、なんかこうっ、違った呼び方したいわけさ!』

そう思わない?って同意を求めてみたら呆れられた。

『でも、岩ちゃんって呼び名に勝つものがない…』

及川は何で岩ちゃんにしたんだろうか。
気になる。が、しかし、今は女の子にきゃっきゃ…状態だ。

「……一でいいんじゃねーか?」
『…確かに!意外と下の名前で呼んでる人いないもんね!』

そっか、それがあったか…
名前で呼ぶとは当たり前すぎて盲点だった…!

『一かあ……はじ、め//』

おおっと、いざ呼んでみると恥ずかしいものがあるぞ。
考えたら男子を名前で呼んだことない。

「なんで赤くなるんだよ」

提案した本人に大爆笑されてしまった。

『いやっ、下の名前で呼ぶのって恥ずかしいなと…』
「そうか?…ななし」
『へ?』
「別に恥ずかしくねえだろ?」

なっ?って顔されても…
岩泉に名前で呼ばれたことないから!
現在進行形で心臓バクバクしてますよ!

「ななしって下の名前で呼ぶか。」
『ちょ、やめて!//』

「岩ちゃーん!と、ごんべちゃん!」
『及川ナイス!』

初めて及川が救世主だと思った!

「え、何がナイスなの?」
「丁度いい、ごんべのこと下の名前で呼んでみろ」
「ん?ななしちゃん」
『…あれ。』
「な?平気だろ?」
「ねえ、何の話?」
『及川、もう一回。呼び捨てで』
「え??呼び捨て?もー欲しがりだなあ」
「うぜえ」
「痛いよ!岩ちゃん!」
『うわー…じゃなくて!』


「…ななし、好きだよ」
「なっ……」
「どう?惚れた?」
ふふんっと鼻を鳴らす及川だが。
『…うん、惚れない。うっざい』
「そんなっ!」
『おかしーなあ…』

全然恥ずかしくない。
と言うか腹立たしさが…

「じゃあ、岩ちゃん!今俺が言ったことそのままごんべちゃんに言ってみてよ!」
「あ?なんでだよ」
「理由も判らずやったんだから!」
「お前は知らなくていい。」
「酷い!!」

『あ、岩泉、お願いします』
「は、あ?」
「ほらあ、ごんべちゃんが言うんだからさ!」
「…ちっ、」

めんどくさそうに舌打ちをしながらも引き受けてくれるらしい。
イイヤツだ。

「……ななし、好きだ」
「ひゅー岩ちゃんイケメン!」
「うぜえ」
「だから痛いってば!!」

『………』

ボンっと顔を赤くしてしまった私。
そうか…岩泉だからなのか。
気づきたくないことに気づいてしまったぞ…

「ごんべ?」
『は?え?』
「顔赤いぞ?」
『ああ、うんっ、何でもないよ!私行くね!』

あああ、まともに会話ができる気しない!
ので、この場から立ち去るのが一番だ!

(あいつ、結局何がしたかったんだ?)
(岩ちゃん…罪な男だねー)
(あ?)

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