short

□俺と付き合ってくれ!!
1ページ/1ページ

「ごんべが好きだ!」
『…おっと?』

あれ、おかしいな。
今、私の事が好きだと言ったこいつは確か
男バレマネージャーの清水先輩を崇拝してなかったけ。

「俺と付き合ってくれ!」
『あ、うんと。ごめん。西谷の事よく知らないから』

知らないのは事実だし、
お断りしたはず!…なんだけど。

「ごんべ帰ろうぜ!」
『あー…はい。』

毎日、部活を終えた西谷が何故だか私を迎えに来る様に。
部活動に加入していない私は放課後は教室で黙々と勉強してる。
クラスが違うはずなのに西谷は把握してたらしい。

「で、旭さんのサーブが!」
『あ、あのさ』
「ん?何だ?」
『私、確か西谷の告白を断ったはずなんだけど』
「断られたな!!」
『じゃ、どうしー』
「俺のこと知らないって理由なら、知ってもらえばいいじゃねーかって!」
『…でも、東峰先輩の話ばっかりだね』
「し、しまったッ!!」

西谷のことより、
東峰先輩の方がよく知れた数日だったよ。

「よしッ!試合、観に来いよ!」
『試合?』
「おう!練習試合だけどな!」

二カッと笑う西谷を見てるとなんだか断ることも出来ず
結局練習試合を観に行く約束をしてしまった。


「……すごい。」

バレーの知識なんて全然ないけど、
西谷が普段とは想像出来ないくらい真剣な表情をしてる。

主将さんのレシーブもキレイだけど、
西谷のレシーブはもっとキレイで静か。

一年生のちっちゃい子はレシーブすると方向が定まっていないように見えるけど、
西谷はキレイにセッター?の所にいく。

試合が始まってから西谷から目が離せなくなっていた。

「ごんべどうだった!!」

試合後、すごいスピードで私の所まで来た西谷。
ちょっと、みんなの視線がっ……。

『う、うん。すごかったよ。見てて飽きなかった』
「だろ!」


自慢げに先程の試合について話し出す。
やっぱり東峰先輩のことだ。


「バレーに興味出ただろ?」
『うーん、まあ。また試合みたいかな、とは』


出来ればもうちょっとルールを知りたい。


「そうか!じゃあ、俺と付き合ってくれ!!」

えっと、話が噛み合ってない気がする。


「また西谷は……」という声も聞こえる。
試合を観せたかったのはこれを言うためだったのかな。


『……うん、いいよ』
「ほ、ほんとか!?」


自分で言っておいて何でビックリしてるんだ。
田中と一緒に。


「う、うおおおお!!」
『ちょ、えっ…!』

勢い任せで西谷に抱きしめられる。

「カッコイイぜ、ノヤっさん…!」とか
「西谷辞めたれー」とか声が聞こえるけど
たぶん、本人には聞こえてないんだろーな。

「絶対幸せにしてやるからな!」

もう西谷には振り回されっぱなしだ。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ