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□疲れた時、
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「ななし」
『なーに?』
「ちょっとこっち」
『へっ、わっ…』

腕を引かれそのままギュッと抱きしめられる。

『どうしたの?京治くん』
「…ちょっと、疲れた」

私の首筋に顔を埋めながら言う京治くん。

『…お疲れさま。木兎さん、今日も大変だったもんね』
「…ん」

練習試合があった今日、
途中で木兎さんの弱点が発動した。

『でも、よく冷静に対処できるよねー。すごいよ』

京治くんの背中に手をまわし、ギュッと抱きしめ返す。

『さすが、副主将。頼りになるねー』
「…実際焦ったよ」
『うん』
「木兎さんが不調なのはいつもの事だし」
『うん』
「まだしょぼくれモードの方が楽」
『うん』

二年生で、副主将を務めている京治。
木兎さんのお世話係も一緒にしている。

副主将という立場だし、
プレッシャーをすごく感じているんだと思う。

疲れた時、ストレス溜まった時、
こうして私を抱きしめる事がある。

「ななし」
『んー?…んっ』

名前を呼びながら顔を上げる赤葦、
ななしの頭を押さえながら深いキスをする。

『んんっ…ふ、ぅ…』
「……ん、充電完了」

唇を離し、再び首筋に顔を埋める。

『…そっか。良かった』
「……カッコ悪いよね」
『何で?…こうやって京治くんが甘えてくれるのすごい嬉しいよ?』
「…ありがとう」
『私こそありがとうね』

いつも冷静な京治くんが
こうやって甘えてくれるのが私だけだってことがすごく嬉しいんだよ。

ありがとう、京治くん。


(あかーし!トス上げでくれー!)
(…木兎さん、たまには空気読んでください)

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