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□下心がないなんて嘘
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『んんっ…ん?!』

あれ…昨日は確か会社の飲み会だったはずで
私、酔っぱらったんだっけ…?
で?ここは見覚えのない部屋の中何ですケド!?

『ちょ、と待って…』

昨日来てた私の服はどこへ?
そして私は何故男性用の服に身を包んでいるのか…

答えは一つしか思いつかない、んだけど。

『…やってしまった』

最悪だ、最悪だ。
まだお酒が残っているのかな…
二つの意味で頭痛い…
いや、とにかく!まずはここが誰の家なのかを確認しなきゃ!!

「…あ、おはよう」
『ひっ…え、あ、かあし、くん、?』
「赤葦だけど…」

ガチャリと扉が開き入ってきたのは同僚の赤葦くん。
しかも、髪が濡れているってことはお風呂上がりですよね…
あー、終わった。確定だ。
まさか相手が赤葦くんだったとは…

「…あの、何か勘違いしてるようだけど」
『勘違い?』
「昨日のことどこまで覚えてるの?」
『…ごめんなさい。一切覚えてないです…』
「はあ…」

私の表情から何を考えているのか察してくれた
赤葦くんは溜息を付きながら昨日のことを話してくれた。

どうやら私は酔っぱらって寝てしまったらしい。
周りの人が声をかけてくれたらしいが起きなかったらしく、
近くにいた赤葦くんに投げられた。
何とかタクシーには乗ったものの家の場所まではわからなかったため
こうして赤葦くんの家に運ばれたわけだ。

『あああの!…服は』
「ああ。それは自分で着替えてるよ」
『そ、そっか…』

寝ぼけながらもどうやら着替えてたらしい。
…いや、違う。とりあえず謝らなければいけない。

『勘違いして申し訳ありませんでしたっ!!』
「あ、いや、うん」

赤葦くんに迷惑しかかけてないって事だ。
ああもう頭が上がらない…

「…ごめん、今ごんべさんの服洗濯かけたんだよね」
『そんなことまで…申し訳ないです』
「だから、それが終わるまでシャワーでも浴びてく?」
『へ、?』
「乾燥終わるまで着れないし、酔い覚まして来たら」

っていう言葉にガッツリ甘えさせてもらいました。
そもそも、赤葦くんと二人きりってか部屋にいるのがもう心臓に悪い。

お陰様で酔いはバッチリ冷めたけど、
非常に気まずい状態です。

『…服、乾いてる』

これ以上迷惑かけないようにさっさと帰ろう。
それで後日ちゃんと謝罪しよう、うん、そうしよう。

『…あの、赤葦くん、お風呂ありがとう』
「あ、うん」

そろーっとリビングを覗けば
何やらスマホを弄っていたらしい赤葦くんが顔を向けた。

『長々と本当にごめんね、帰ります…』
「…」
『…赤葦くん?』

何も言わずに立ち上がったかと思えばそのまま私の目の前へ

「…ダメだ」
『あかっ…!?』

ふわりと赤葦くんの匂いがすると思ったら
何でか抱きしめられてる、?!
あ、でも私からも赤葦くんの匂いしてるかも…

「…ごめん、さっきの話半分嘘ついた」
『う、そ?』

ごんべさんが起きなかったのは本当だけど
自分から介抱すると言ったのだと話してくれた。

『…あの、それは一体どういう、』
「何もしないつもりだったんだけど」
『……あかあ、し』

クイッと顎を持ち上げられ気づけば赤葦くんにキスされている、らしい。

「そんな顔されたら無理だよね」
『あ、えっ、えっと…』
「好きだよ、ごんべさん」
『きゃっ、あっ…』

私も好きです。
…と、言いたかったんだけど
赤葦くんはそれすら待ってくれないらしいです。

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