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□気づいた気持ち
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『毎日毎日…ストーカーみたいなんだけど』
「何を言う!?俺はただ潔子さんに変な輩が近づかないか見てるだけだ!!」
『龍が変な輩じゃん』

幼馴染の田中龍之介は男子バレー部のマネージャーである
清水先輩のストーカー…本人曰く護衛だそうだ。

とはいえ、毎度つけてるわけではなく
部活の時だったりこうして休み時間に見つけた時だけなので軽度のストーカーになる。

『…行くよー、授業遅れる。』
「これで俺は生きていけるっ!!」

何だかよく分からないことを言いながらも
私たちは移動教室のため清水先輩とは逆の方へ歩き出す。

まあ、遠目から見ていたので先輩は気づいていないんだろうけど。

『純粋な疑問なんだけどさー』
「んだよ?」
『龍は清水先輩が好きなわけ?』
「そういう事ではない。潔子さんという方にその様な行為を持つなど恐れ多い」
『…怖』

スンとすまし顔で言ってくるあたり危険なんだけど。

『…付き合いたいとかもないってこと?』

龍の清水先輩への気持ちがいまいち分からない。
恋愛感情的なものだと思ってたんだけど…

「んー…ねえな。潔子さんの前だと頭真っ白になるからな!俺は遠くから見守ってるほうが性に合ってるな」
『…ああ、そう』

相変わらず女性には免疫はないんのにちょっと安心しつつも
その考え方はおかしいと突っ込んだほうが良いのかな?

「それにあれだな、ななしの方が一緒にいて気ぃ使わねえし付き合いたいって思う時あるぞ」
『…は、?』
「ん?…なっ!?」

自分で言っときながら何で龍がそんなに驚いた顔してるの。

「お、俺はっ、何を言って…!!」

あまりにも龍がテンパるもんだからすごく冷静になってきたのと、
一つの疑問が素直に口に出る。

『龍って私の事好きなの?』
「ば、お、おまっ!別にっ!!」

噛むわ、顔は真っ赤だし
そういうことでどうやら良いようですね。

「ああそうだっ!俺用事あんだったわ!先言っててくれ…!!」

流石は運動部
素晴らしい速度で来た道をダッシュしていった。

『…なんて返事しよーかなあ』

なんて呟いてみるけど
私の龍に対する想いは昔から決まっているんだから…
そんなにテンパらなくてもいいのに。

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