01/30の日記

04:07
冬のキス 6
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6.

銀時と待ち合わせをして、奴が時間通りに現れることはまずない。
それでも時間通りに行かずにおれない自分の性分を呪いつつ、煙草に火を付けて手持ち無沙汰を紛らわす。

自分の半休に合わせて出てきてもらってはいるのだが。
かれこれ、約束から一時間ほど経っている。

灰色の空からは雪がちらついてきて、飲み屋の並ぶ通りは家路を急ぐ人ばかり。呼び込みも早々に諦めて、手を擦り合わせて中へ入っていく。

煙草の火が消え、舌打ちして携帯灰皿に捩じ込んだ。
店を決めて待ち合わせをすればいいのだが、相手がいつ来るかも分からないのに、二席を取るのも悪い気がして、自然外で待って店に入る形になる。

軒先を借りていた店の主が、中に入っては、と勧めてくれるのを断って、今度こそ奴に携帯を持たせようかと真剣に考える。

そうすれば、奴を待つ度によぎる、何かに巻き込まれているのでは、という思いもなくなるのではないか。
…いや、今度は、携帯に出ない奴にやきもきとさせられる気もする。

幾度めかの、溜め息ともつかない白い息を吐き出した所で、通りの向こうから銀時が走ってくるのが見えた。

「悪い、出掛けにばたばたしてよ、」
「…ったく…。遅えよ」

悪いと言いつつ全く悪びれない風情はいつもの事で、しかしやや呼吸を乱している銀時に、あまり多くを言えなくなるのも常の事。

落としていない両袖はやや湿り、赤い襟巻きに雪が落ちていく。普段はあちこちへ跳ねている髪も、ややしなりとしていた。

もとより白い顔は、雪明かりのせいか一層青白くて、少し戸惑う。

しばらく黙っていたのを責めと受け取ったか、銀時が口を開いた。

「…本当悪かったって、」

だがしかし。

「早くどっか入って…あったまろうぜ、」

白い顔の中で一際赤く濡れる唇を重ねてきて、にやりと笑う顔は確信犯のもの。

「…上等だ、」

いつ降り止むか知れない雪を見ながら、宿へと銀時の手を引いた。


『早くあったまろ』原作沿い

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