幸せのまえに・・・

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あぁ最悪だ。

ジャーファルは独り溜息をついた。

少しばかり辺りを見回せば目につくのは散らばった書類の束。片付けるのはまだ楽そうだが、如何せん連日の無理が祟ったか体がだるいし重い。今の状況で人が居ないことに感謝すべきか、呪うべきか。辿り着かない答えにもう一度溜息がもれた。


そもそもどうしてこの様な状況になったのか。
理由は至極簡単、自分が駅の階段で転んだからである。流石に連日徹夜は無理があったかとふらつく体で何処か他人事のようにそう思った。

今度から徹夜は止めようとこれで何度目か、守れなさそうな誓いを心に抱く。


「とりあえず、集めなきゃな」


散らばった書類の束は見ていて気持ちの良いものではない。さっさと片付けようとジャーファルは目の前のそれに手を伸ばした。



その時だった。



「あの、……大丈夫ですか?」


案外近くで聞こえた声に驚いて顔をあげれば、一人の少女が目の前に立っていた。差し出すようにして自分が散らかした書類を数枚持っている。

拾ってくれたのかと感謝しつつ、まさか転んだところを見られたかと少しばかり決まりが悪かった。


「あの…………、」


不安げなその言葉に、慌てて返事をして書類を受けとれば、目の前の彼女は安心したように笑った。


「良かった。………じゃぁ残りを集めるの、手伝いますね」


そう言った彼女に悪いと思いながらも、ジャーファルもまた辺りの書類を集め始めた。





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