シンドリア学園

□お昼休みに
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シンドリア学園の昼休みは他と比べると少しばかり長い。

それは創始者たるシンドバッドの提案らしいが、詳しいことはアリババは勿論、他の生徒も知らない。



「あー、食った食った!」

「お腹いっぱいだねぇ」



中庭で弁当を囲み食事を取っているこの場には、アラジンとアリババ、モルジアナと言ういつものメンバーに加え、留学生の白龍もに参加していた。



「にしても、驚きだよな。まさか白龍とモルジアナが同じクラスだったなんて」



前回は自己紹介しないままにアリババと別れた白龍だが、何の縁かこうしてまた会うことが出来た。

内心飛び上がりたい程に歓喜している事は白龍だけの秘密である。



「………ところで、僕は眠たくなってしまったよ」



話の途中で、ごしごしと目を擦りながら言うアラジンに苦笑をもらしたのは誰だったか。

確かに今日の気温は昼寝には最適である。ぽかぽかと丁度良い陽射しに白龍にも軽く眠気が襲って来た。



「じゃぁ昼寝するか。ほら、アラジン此方に来い。モルジアナも」



そう言ってアリババはアラジンを己の傍に寄せて、手招きでモルジアナを呼んだ。

アラジンはアリババの左側に、モルジアナは右側に移動する。
その後、二人はゴロンッと横になった。



アリババの、膝の上に。



「…っ!!!?」



それに驚いたのは白龍である。

まだ幼いアラジンは良いとして、あのモルジアナまでも何処か嬉しそうに頭を撫でられている。



どこの親子だと柄にも無く思ってしまった。



そんな白龍の視線に気付き、どう解釈したかは知らないがアリババは笑いながら白龍を見た。



「ん?白龍も膝枕して欲しいのか?」

「はっ!?……えっ!?」



勿論白龍は慌てふためいた。それもその筈、恋心を抱いている相手にそんな事を言われて慌てない人間など居ないだろう。



「つっても、膝はもう占領されちまったけどな」



笑いながら二人の頭を優しく撫でるアリババに、白龍は無性に二人が羨ましくなった。

アラジンとモルジアナは既に眠ってしまったのだろう、軽く寝息が聞こえる。

まるで、そこだけ時間が止まってしまったかのように白龍は感じた。



「…………アリババ殿」



呟いた声にアリババは「ん?」と言って顔を上げる。



白龍はその後の言葉を口に出さず、黙ってアリババの丁度隣に移動した。

背中を壁に預け、頭をアリババの肩に寄りかからせる。

一瞬アリババの肩が強張ったけれど、それもすぐに解かれた。



「何だ。白龍も昼寝したかったのか?」

「えぇ、少しだけ……」



「そっか」と微笑みながら、今度はアリババが呟いた。

それだけ。それだけだったけれど白龍は自分の心が温かくなるのを感じた。


(……眠い)


先程の眠気が再び白龍を襲った。


眠るようにと、頭に置かれたのはきっと彼の手なのだろう。








一陣の柔らかい風が中庭にいる四人の頬を撫でた。




そんなある日の、昼休みの出来事。






end






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