企画
□過去拍手
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4月〜11月4日までの拍手文
季節違ってもツッコミは無しの方向で
「うわぁ、綺麗ですねぇ!」
風が吹く度に舞い散る薄桃色の花弁に、気分が高揚するのをアリババは感じた。
日射しは暖かく、青空は澄み渡り、絶好のお花見日和である。
「何かお花見の用意でもしてくれば良かったですかね?」
「大丈夫ですよ。シンがそろそろ、お花見大会だ!とか言って花見の準備をさせますから」
ジャーファルが悪戯っぽくそう言えば、アリババはくすくすと笑って「確かに」と呟いた。
「シンドバッドさんなら言いそうです」
「そうすれば自分は仕事から逃げられますからね。大好きな酒も飲めるでしょうし」
溜め息をつきながらそう言えば、「お疲れ様です」と苦笑された。
本当に実行しかねない自分の主に、せめて仕事は終わらせてからにしてくれないかなとジャーファルは思う。
その時、強い風が吹いた。
目を開けていられなくて、つい瞑ってしまったがアリババは大丈夫だろうか。
声をかけようとしてジャーファルは開けた目を更に開いた。
たくさんの薄桃色の中に埋もれる金色。
それが何となく嫌で、ジャーファルは咄嗟に目の前のアリババの腕を引っ張った。
「わっ、びっくりしたぁ」
突然の行動に驚愕しながらアリババはジャーファルをジッと見つめる。
夜に似た深い彼の黒が僅かに揺れた。
そのままアリババはジャーファルに抱き込まれ、強く抱き締められる。
その間にも薄桃色の花は、桜は散っていて。
このまま埋もれてしまいたいと、何故かアリババはそう思った。
end.