magi 短編
□届かない
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ふと目が覚めた。
外を見れば暗く、月は丁度真ん中にのぼっている。
今が夜中だというのは簡単に予想がついた。
夜中に起きたのはこれで何回目か解らないが数えたことの無いソレは、きっとあまり良いと言える数字ではないだろう。
そもそも夜中に起きることに良いも何もないが。
明日も早いのだから眠らなければ、そう思いながらも不思議と睡魔は何処かに消えてしまった。
(せっかくアラジンとモルジアナが気をきかせてくれたのにな………)
寝不足で隈が出来ていたのか、『今日は早く寝よう』と二人は自分と一緒に床に入ってくれたのだ。
年下の二人が気をきかせてくれたことに嬉しいと思いながら、同時に申し訳なくて。
(……風にあたってこよう)
幸いなことに隣にいるアラジンとモルジアナはぐっすりと眠っており、起きる気配はない。
今のうちに、とアリババは部屋の扉を開け、廊下へと出ていった。