magi 短編
□ゆびきりげんまん
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約束しましょう。
そう言ってジャーファルは自分の小指をアリババの小指に絡めた。
「…ジャーファルさん?」
いまいち状況が掴めないとアリババは首を捻った。
そもそも、どうしてこうなったのかアリババさえ解らない。
本日の修行も終わり、偶然と言うか珍しくジャーファルの仕事も一段落ついたので、久しぶりに恋人とゆっくりしていたのだが、突然のジャーファルの行動にアリババは戸惑っていた。
「…ジャーファルさん?どうしたんですか??」
尋ねてみてもジャーファルはただ微笑んで、ただ小指同士を一層強く絡ませた。
「……ジャーファルさん」
「少し、怖くなったんです」
漸くそう言ったジャーファルはグイッとアリババを自分の胸に引き寄せた。
いきなりの思っても見なかった抱擁に一瞬驚愕するも、久し振りのジャーファルの体温にアリババは酷く安心する。
「何が怖くなったんですか?」
ジャーファルの腕に捕らわれたままアリババは尋ねた。その瞬間僅かに強くなった腕の力を感じて、思った以上にヤバイかなとアリババは思う。
ジャーファルが意外と精神が弱くて、寂しがりだと知ったのは恋仲になってから。
長くはないが、決して短くもない月日で全部とはいかないが、だいたいの事はアリババは理解していた。
「夢を見たんです。アリババくんが…、居ない夢を。夢の中にはアラジンが居て、モルジアナが居て、皆が居て………けれど君が居ない。そんな夢」
そう言ってジャーファルはまたアリババを抱く腕の力を強くする。今度はアリババもジャーファルの背中に手を回した。