magi 短編

□幸せなんです。
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「ただいま」



ついこの間まで考えられなかった自分のその言葉にジャーファルは少し笑みを溢して玄関の扉を開けた。

彼が家の中に入った時と丁度時間を同じくして、パタパタと向こうから駆け寄ってくる足音に頬が緩んで仕方がない。



「お帰りなさい、ジャーファルさんっ」

「ただいまアリババくん」



嬉しそうな顔で此方へと駆けてきたアリババに、ジャーファルは笑みを浮かべた。







ジャーファルとアリババは所謂夫婦という関係である。

出会い方は多少複雑だが紆余曲折を経て今ではこうして彼女と一緒になれたのだから、あの時の自分の苦労は無駄じゃなかったと過去の自分をジャーファルは褒めてやりたい位だ。



「ジャーファルさん、疲れたでしょう?ご飯先にします?」



首を傾げて尋ねるアリババの声を聞いたとき、ふとリビングの方から美味しそうな匂いがすることにジャーファルが気付くや否や、いきなり彼の腹が空腹を訴え始めた。



「ふふっ…、先にご飯にしましょう!」



そう言って笑うアリババにジャーファルは「お願いします」と何処か照れ臭そうに言ってリビングへと入っていった。





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