忘れ物(文)

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パッカパッカ



「わー、玲央、ウーゴくん街が小さくなってゆくねぇ!」

『そうだな、落ちんなよ』




俺の膝の上に立って後ろに乗り出すアラジンを支える

すると隣に座っていた奥さんがくすりと笑った





「ぼうやたち、隣町まで行くの?」

「そうさ!」

『そうなの!?』





奥さんの質問に即答で答えたアラジンに思わずツッコミを入れてしまう


お前、さっき”わかんない”とか言ってたじゃねーか!





「まぁ、二人でえらいのねぇ。でもお兄ちゃんがいるから安心ね」





そう言うと奥さんは俺の方を見て笑いかけてくれた


綺麗な奥さんだな

つか、俺とアラジンは兄弟に見えてんのか



するとアラジンは二人じゃないよ!ホラッとウーゴくんの入った笛を見せる

しかし奥さんは知らないため苦笑を浮かべ頭の上に?を浮かべている


そりゃそーだろな




その笛が気になったのか奥さんの膝の上にいた女の子が手を伸ばすが届かず諦めたのか

その手を俺の方に向けてくる

”だっこ!”と満面の笑みで言ってきたため俺は奥さんに断りをいれ抱き上げるとキャッキャとはしゃいでいた






可愛い

この一言では言い表せない程可愛い

勘違いすんなよ!俺はロリコンじゃないからな!!

そこ大事!!

俺は子供が好きなんだ!!



癒されているとぺっと林檎の芯が床を転がった





「これ…動くな子供よ…ホコリが散る」





モッシュモッシュと林檎を齧りながらおっさんが言ってきた


言う前に口元拭けや、きたねーぞ






「狭いし子供はうるさいし…ど〜なっとるんだね〜っ運転手よ」






運転手と呼ばれた少年は安いがしっかりとブドウ酒を運ばせてもらうとヘラヘラと笑う


ブドウ酒ってことはブ、ブーデブだったけな?確か


ブーデブは貴様には一生かけても飲めない酒だから丁寧に扱えと運転手に命令する

すると膝の上の温もりが消えた

女の子は目の前にいるということは





『・・・アラジン?』





目を前に向けるとブーデブの目の前にある林檎に手を伸ばそうとするアラジン




「ワシの林檎に触るなっ!」




ビクッと体を震わせ手を伸ばすのを止める


そんな言い方をしなくてもいいじゃねーか





「だめだめ、それは旦那様のりんごだよ」

「僕にも一つおくれよ」

「おまえ金持ってんの?」

「持ってないよ」





当たり前じゃないと付くように堂々と言ったアラジンはある意味すごいと俺は思う


じゃあダメだと言われてシュンとしたアラジンが帰ってくる

胸元に顔を埋めてきたためその小さな背中を慰めるように優しく叩く


しかし何を思ったのかブーデブの方を見てそっちに歩いて行った

















俺はアラジンの行動に驚愕してしまった




モミモミモミ


「どうして男の人なのに…おっぱいがついているんだい?」



玲央はないのにと手を動かしつつ俺の方を見るアラジン


あってたまるか!!!



アラジンはブーデブの胸元に顔を埋めている

正確にはだらしなく脂肪しか付いていない胸筋に


ゴロゴロゴロと動揺した少年が林檎を落とした音が後ろから聞こえるがそれどころじゃない



コラァァァア!!
ギャァァァア!!アラジンく――ん!?





何をしてるんだ――!!!!





「スンマセンっっした――っっ!!!」



運転手の少年がコンマ一秒の速さでアラジンと自分の頭を下げる

しかしブーデブは胸元のことを気にしていたらしくものすごく憤慨し地団駄を踏む

このままではマズいと運転手の少年は近くのオアシスで休憩を取るようにした






























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