主と忠犬(文)
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朝が来る
今日も俺の静かな朝が・・・
『アリババ様!おはようございます!』
コイツによって奪われる
それが普通だった頃が懐かしい
この国の王子になった頃から俺の従者のはいつも俺のそばにいた
でも、今あいつはいない
俺は王族の人間だったが今はただの義賊の人間
つまりはクレアとは敵同士
でも、きっとあいつは待っているんだろう
主人の帰りを・・・
「待て」と置いていった俺のことを
もしかしたら、もう待っていないかもしれない
それでも俺はきっと・・・
「よぉ、相棒。どうかしたか?」
「カシム、なんでもない昔のこと思い出してただけだ」
「そうか、とりあえず今日はこの貴族のところに攻め込むぞいいな」
「おう!」
今日は霧の濃い夜になる
(一歩右後ろが寂しい)