サンジ×ルフィ

□Happy nuisance U
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「ぎゃああああああ!!!ぐ、軍艦だあああ!!!」

ウソップの悲鳴と共にサニー号の回りで幾つもの水柱が高々と上がる。
打ち寄せられる波に船体が大きく揺れる。


「あれは・・・・・」


此方に迫って来る軍艦にサンジは目を見張る。



あれは、ルフィを捕らえた・・・・


「なんて大きな軍艦。何処かで見た事がある様な気がするけれど・・・気のせいかしら?」
「知るか!さっさと逃げるぞ!」

物珍しそうに軍艦を眺めるロビン。
それを尻目にフランキーは船首へ向かい、舵を取る。

「ソルジャードックシステム、チャンネル0!!」




ガシャン!




大きな音が船体に響き、同時に両船腹からパドルが出でくる。
パドルがゆっくりと回り始める。






「待って!!逃げちゃダメ!!」

いざ、前進。
其の瞬間、フランキーの後頭部をナミが天候棒で殴りつける。

「何しやがる!!」
「逃げちゃダメ!!迎え撃つわよ!!」
「はあ!?」

ナミの言葉にフランキー、そして横でアタフタとしていたチョッパーとウソップも唖然とする。
いつもなら真っ先に逃げると宣言する彼女がまさかの戦闘を臨んだ。
側で聞いていたゾロも呆れる。




「おい、ナミ」
「どうしたの、ゾロ?」

自分を呼ぶゾロに笑顔で返すナミ。





アンタの言いたい事なんてわかってるわよ。






「ナミ、お前・・・・・」
「そろそろ私たちの新しい実力、海軍にも教えてあげてもいいと思わない?」
「・・・・・・・・・・ったく、好きにしろ」

踵を返し、ナミから離れていくゾロ。
そんなゾロにナミは笑みを浮かべる。

「本当は助けに行けて嬉しいくせに・・・・・。ホント、意地っ張り」








「うわっ!?お、おお、おい!!」


突如、ウソップの奇声が上がった。
ウソップは狼狽しながら、軍艦の方を指差す。

「な、何か飛んでくる!!でけェ!!」
「あー、本当だー!何か飛んできますよー!人ですかね?ヨホホホ!!」

人。
ブルックの発した単語に船内に緊張が走る。



風を引き裂く様な音を纏い、其の何かはサニー号に向かってまっすぐ飛んでくる。

そして


―――――――ドガン!!



甲板に其の何かは勢い良く、着陸。
いや、墜落の方が正しいかもしれない。
其れだけの爆発を伴っていた。
だが、さすが宝樹アダムで作られた船。
船体が揺れただけで損傷は無い。


其の何かが土煙を纏いながらゆっくりと起き上がる。


「だ、誰だァ!?お前!!」

ウソップは慌てながらもカブトを構える。



が、

「あ」
「あ」
「あ」
「あ」
「あ」
「まあ」
「あ」
「え?皆さん、お知り合いですか?この方」


一番新顔のブルックを除いて、その他7名は唖然とする。

其の何かは・・・・・


「ル、ルフィのじじ、じいちゃん!?」


そう、ガープ。
一度ウォーターセブンのガレーラカンパニーの社舎で会った。
だから一応知り合い。



「ん?そう言やァ、ウソップ。お前何でルフィのじいちゃんの事、知ってんだ?」
「え?や、やや、やだなァ、ゾロ君!!最後に船で追われた時に見たに決まってんだろ!?覗いてたりなんかしてねェよ!!」
「・・・・・・・・・・」




衣服に付いた埃を軽く払い、ガープは船員達を見回す。
そして視界にサンジを捉えるなり、其の侭彼の胸倉に掴みかかる。

「おったァァアアアアア!!黒足のサンジ!!!!」
「はあ!?」
「何回も手配書を見たから間違いないわい!!覚悟せい!!」
「何であの手配書でおれって分かるんだよ!!」
「言い訳無用!!今こそこの恨み、晴らしてくれよう!!」
「何も言い訳してねェよ!!」
「え!?ちょっと待って!!」

サンジに殴りかかろうとするガープをナミが必死で止める。
何とかサンジは解放され、ガープも少し落ち着く。
だが、其の顔は未だ怒りに歪んだ侭。


「恨みって一体何なの?うちのサンジ君が何したの?」

問いかけるナミにガープは一瞬きょとんとする。
しかし直様納得の色を見せる。

「・・・・そうか、そう言えばお前ら知らんのか」
「知らないって、何を?」

怒ったり、納得したり。
コロコロと感情が変わるガープにナミも少々呆れつつ、問い続ける。
暫く考えこんでいたガープだったが、結論が出たらしくガバッと立ち上がる。
其の顔は元の怒りに戻って。

「いいや!知らんで済むか!!ルフィをあんな・・・・・!!」
「ルフィ!?」

突如出てきた船長の名前に、一味全員驚く。

「あ、そう言えばルフィのじいさん!!あれ、アンタの船だろ!?」

何か思い出したサンジ。
先程ガープが飛んできた船を指差す。

「ああ、そうじゃ」
「じゃあさっきルフィを捕らえてのもじいさんだろ!?ルフィは今どこ・・・・・・?」
「ルフィは、今どこ・・・じゃと?」



サンジの言葉にガープの右拳がぎゅっと握られる。







その瞳は幾多の戦績を残した彼にのみ備わった迫力の有る怒りを纏って。






「すまんのぉ、ルフィ。やぱりわしァ―――――手加減できそうにないわァアアアア!!!」





叫んだガープの拳が振り下ろされ、






サンジの右頬を捉える。









――――――ガアンッ!!!






其の衝撃にサンジの体は宙に浮き、数メートル吹っ飛び、船の縁に体を打ち付ける。
そのサンジを再び襲おうとガープは地を蹴る。
が、


「おい、じいさん」


軽い金属音と共にガープの背に刀が当てられる。

「殴るのは説明してからにしてくれねーか?」
「・・・・・・」

静かに背後で構えたゾロにガープも拳を解く。
ゆっくりとサンジに歩み寄る。



「すまんかったの」


そしてサンジに手を差し伸べる。
サンジはその手を受け取り、身を起こした。
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