Penal servitude

□Penal servitudeT*
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石造りの階段に足を下す度に、その冷たさが音となって廊下に響き渡る。







だが、今はそんな音でも喜びをかき立てる賛歌の様。






階段を降り終え、同じ様な廊下に出ると大きな金属音が耳に入った。
その音はまるでこの建物を壊すかの如くに全体に響き、震わす。







その音がする方へ歩いて行く。








音の発生場所は










この"牢獄"の一番奥の収容部屋。











鍵を取り出し、その部屋の重たい金属扉を開ける。




扉を開け、そこで目にした光景は





とある囚人が両手に手錠を、両足首には足輪が掛けられて石の床に転がされていた。




さらに片足の足輪には少し欠けた鉄塊が付いていた。
その付近で床の一部が破損されていた為、どうやら先程からしていた音の原因はこの鉄塊らしい。




囚人は此方を見るなり、急いで起き上がって睨み付けてくる。





「・・・・ケムリンッ!!」
「久しぶりだな、麦わら」



ルフィは手首に掛けられた手錠を床に打ちつけながら、目の前で悠然と立つスモーカーを見据える。

「仲間の為にのこのこ捕まるとは・・・・随分義理深ェ船長だ」
「うるせェ!さっさとコレ全部外せよ!!」
「誰が外すか」

スモーカーはゆっくりとルフィに歩み寄り、彼の前髪を掴み上げる。
その行為にルフィの黒曜石を思わせる瞳は一層怒りに染まる。





「やっと・・・・お前を捕まえた」





まるで恋い焦がれていたかの様にため息混じりにスモーカーは呟く。
ルフィは顔を引き攣らせつつも、威勢を崩さずスモーカーを睨み続ける。

「どうだ?そろそろ自分の危機を感じたか?」
「そんなモン感じるか!!おれをどうする気だ!?どっかに連れてくのか!?」
「いや、まだ移動はしねェ。バカかと思ってたが、一応考えられる脳はあったか」
「どうするのかは知らねェが、その前に絶対おれはこっから逃げてやる!!」
「それをおれに言うのか?やっぱりバカだな」

スモーカーはルフィの髪を放し、立ち上がる。
そして其のままルフィを見下ろし、不敵に笑う。

「お前にはやって貰わなきゃならねェことがあるから暫くは此処にいる。良かったな」
「・・・・おれは一体何をするんだ?」
「何をするかだと?」

随分と尊大に笑みを浮かべるスモーカーにルフィは思わず身構える。




「簡単な事だ。お前はただ、此処で捕まってりゃ良いだけだ」
「・・・・・どういう意味だ?」
「要するにお前は"餌"となるわけだ。お前の大切な船員のな」
「・・・・・・・・・・・・・ッな!!??」




遂にルフィの顔に恐怖が現れた。




額から汗が流れる。





「・・・・餌・・ッ?」
「ああ、そうだ。結局お前の行為は無駄だったって事だな」
「そんなッ!!??」





自分が仲間を捕らえる道具となる。







体の震えが止まらない。








「やめろ!!アイツらには・・・アイツらには絶対に手ェ出すな!!!」
「おれは元々お前を捕まえる事にしか興味はねェ。だがな」

スモーカーはつまらなそうに葉巻を取り出し、一服する。

「政府の敵となってる以上、おれたちはそいつらを捕えなきゃならねェ。それがおれたち海軍だ」
「アイツらには夢があんだよ!!おれのせいで潰せるか!!」
「夢ならお前にもあるだろ。いくら夢を語ったって海賊は海賊だ」








実に無力。







悔しさの余りに噛んだ唇から真っ赤な血が垂れる。














皆・・・・・来んなっ!!!
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