Penal servitude

□Penal servitude~After~*
2ページ/9ページ








走れ。
足を止めるな。






「・・・・ッ、・・・ハァ・・・」





ただ闇雲に、只管に走り続ける。
傷だらけの足が海岸の砂浜に足跡を付けて行く。
打ち寄せる波が時折足に掛かり、同時に付けた足跡を消し去っていく。





この海沿いを行けば、街に辿り着く。



早くアイツラの元に―――――!!!







「・・・・ぅわっ!!」



片足が大きく砂浜に沈んだ。
抜け切れず、其の侭前のめりに倒れ込む。
砂に思い切り顏をぶつけるが痛みは無い。
其れは手錠が無く、能力が戻っているという意味を表している。




夢じゃないと良いのだが。







起き上がろうとするが足は疾うに限界を超え、転んだ弾みで全く力が入らない。
立ち上がってみるが直様再び地に倒れてしまう。



一分一秒も勿体無く感じる。



こうしている間にも追っ手が来るかもしれない。
アイツラが乗り込んでしまうかもしれない。



膝を両手で支えながら、何とか立ち上がる。
疲れ果てた足に鞭を打ち、再び走り出す。




早く――――――ッ!!






「ルフィッ!!!」
「!?」


突如呼ばれた己の名前にルフィは顏を上げた。
砂に塗れた其の顔を声がした方へ向ける。



あの声は―――――




「・・・・メリー・・?」



顏を向けた其の先、
青い海に浮かぶ一隻のキャラベル船。
其の船首には見慣れた懐かしい――――羊の頭。
甲板には会いたくて堪らなかった仲間。




前だけを見て走っていたので全く気づかなかった。
船は此方に進路を変え、向かってくる。



次第に仲間全員の顔がはっきりと見えてきた。
其の顔に思わず安堵する。





やっと、戻ってきたのだ―――――





「夢じゃ・・・・ねェ・・・?」





これは夢なのか?







もう何も分からない。











ただ、嬉しかった。








寝たらもしかしたらこの夢が終わってしまうかもしれない。




けれどもルフィの意識は保たれなかった。
膝が砂に落ち、其の侭崩れ落ちる様に気を失った。





微かな意識の中、自分の名前を叫ぶ声が聞こえる―――
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ