Penal servitude

□Penal servitude~After~*
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“ルフィ、お前は―――――”







「・・っ、・・ぅ・・・んあっ!」







“お前は・・・おれたちと海に出たくないのか?”







「・・・ぁ―――っ、ぁああ!!!」



自分を叫び声に起き上がった。
目が覚めると其処は暗い場所だった。
辛うじて分かるのはぐっしょりと己の体を濡らす汗と、自分の寝ているベッドの感触。




「・・・・・?」




訳が分からずルフィは辺りを見回す。
次第に目が暗闇に慣れ、室が少しだけ見えてきた。
ベッド脇のデスクに小さなミカンと写真立が置いてある。
写真立の中では幼いナミとノジコ、そして一人の女性が笑顔で写っていた。





此処はナミの部屋だ。





ベッドを抜け出し、階段を登る。




「・・・・・!」

階段を上がると光がルフィを包んだ。
明るく優しく、懐かしい光。




「ルフィが起きた!!」



突如甲高い声が響いた。



直ぐ様チョッパーがルフィに抱きついてくる。
そんなチョッパーを受け止めながらルフィはダイニングに上がった。
チョッパーの声は他の船員にも届いた様だ。
ゾロ、ナミ、次々と船員達が此処に集まる。
そして皆、ルフィの顏を見るなり安堵の表情を浮かべた。
トナカイの船医に至っては戻ってきた船長に涙しながら抱きついていた。




「・・・っ、ルフィー!・・う、大丈夫なの・・・か!?」
「ああ、悪ィ。心配かけたな」
「・・っ、お、おれのせいで・・」
「チョッパーのせいじゃねェよ!だから泣くな!」
「ぅう、ルフィー!!!」





久しぶりの皆が揃っての夕食だった。
ルフィが捕まっている間サンジはあまり料理をしなかった、いや出来なかったらしい。
今晩はありったけのディナーが振舞われた。



そんな夕食も御開きになり、時刻は深夜、皆床に就いた。
船長が捕まっている間、真面な睡眠が取れなかった。
不安が胸を打ち、目が覚めてしまう。
其の不安が取り除かれた今、船員達は心地良い眠りに就いていた。








はずだった。






「―――――っぁあ!!」




暗い男部屋に悲痛な叫び声が響く。
これで幾度目か。



「・・ハァ・・・っくそ・・・・」


ハンモックの上で一人、ルフィは己の体を抱えて座っていた。
まるで何かから身を守るかの様に。
嫌な汗が額から頬に伝う。








徐にルフィは外に出た。
其の侭船尾のデッキへ向かい、海を眺める。
夜の少し冷えた海風がルフィを包む。
火照った体を冷やすのには丁度良かった。






「・・・・・・・」







眠れない。



目を閉じられない。




閉じれば其の瞼の裏に――――――







“おれから離れられないようにしてやる”







「―――――――――ッ!!!」






ぎゅっと己の体を抱きしめる。
体の震えが止まらない。



目を閉じれば――――あの光景が映った。





あの男に捕まったその日。






初めて体を合わせた―――――――。







「―――――ッ、・・・・ぅあ・・・ああっ!!」






脳裏にあの男が過る度、次第に熱くなる体。





「ち、違ェ・・・!!おれは・・・・・おれは・・・ッ!!!!」





瞳から涙が溢れてくる。
涙で揺らぐ視界は広い海原。



もう――――――――あの海軍駐屯所は見えない。










分かっている。





飢えているのだ、自分の体は。







自分の心は、体は―――――





未だ捕まった侭。









体の震えが強まってくる。
こんな姿をあの男が見たら、一体どう思うだろうか。





哀れだと思うか。それとも―――――――。









「―――――――っぁああああああ!!!」











静かな海にルフィの悲鳴が木霊した。
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