その他×ルフィ
□蛇姫様、お悩み中。
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凪の帯にある無人島ルスカイナ。
この島では半年前からルフィがレイリーに修行をつけてもらっている。
週に一回季節が変わるこの島には温暖の差、さらに気候の荒さから人は住んでおらず、
特化された獰猛な猛獣のみが住処としている。
そんな過酷な島でルフィは修行をしているのだが、
“そんな過酷な島”で彼をほぼ毎日覗いているお方が一人。
「ああ、ルフィ・・・・・////」
このルスカイナの南西にある女ヶ島の女王様。
海賊女帝、ボア・ハンコック。
「ルフィ、わらわは・・・・・」
海賊女帝との名に相応しい美貌を赤らめさせつつも切なげに顰める。
いつもの女王としての気品は何処へやら。
繁みの陰にしゃがんで覗く様は恋する乙女―――――よりストーカ・・・いえ、何でも無いです。
見つかるとレイリーに怒られるので、こうして毎日お忍びで来られているのだ。
しかし、今日はもう一人・・・・・・
「ん?」
ハンコックも漸く隣で同じ様にルフィを覗く人物に気付く。
「き、貴様!!何奴じゃ!!」
目の下の隈が良く目立つ細身の男。
被っている帽子がやたらフカフカそう。
何処かで見た事あるような・・・、とハンコックは疑問に思うが其れよりも先に戦闘体制に入る。
「此処に何の用じゃ!!まさか・・・・ルフィの命を・・・!?」
「誰かと思えば・・・海賊女帝か」
どうやら相手も気付いていなかったらしい。
立ち上がり、ハンコックと間合いを取る。
そして男は不敵な笑みを浮かべる。
「お前の心臓には用は無かったが・・・・・七武海を落とせば海軍も動かざるを得ないか」
「貴様などにわらわが落ちると?失笑な」
側で仕えてたサロメを下がらせ、ハンコックは低く構える。
男はザッと右手を挙げる。
「ROOM!!」
異音と共に不思議な半球体の膜が二人を包み込む。
そして男は手にしていたその長刀の柄、鞘を握り、引き抜く。
が、
「!?」
既に前方に蛇姫の姿は無い。
同時に横から細い足で凄まじい蹴りが繰り出される。
「芳香脚!!」
―――――――――キンッ!
抜かれた刀をハンコックのヒールの踵が捉える。
その刹那みるみる内にヒールの踵から刀が石化していく。
「その程度の技、わらわの覇気の前では通用せぬわ!」
「・・・・こりゃ、厄介だな」
刀を足で止めた侭、ハンコック静かに両手を掲げる。
「もう、終わりじゃ」
手でハート形を作り、男に向ける。
「メロメロ“甘風”!!」
ブワッとハートの輪が男を通過していく。
メロメロの実。
この実を口にしたボア・ハンコックに見惚れるとたちまち石化されてしまう。
ハンコック自身、その能力に見合った美貌を持つ。
これまで幾多の男共がこの技によって無残な形に変えられた。
のだが
「―――ッ!?」
思わぬ事にハンコックは目を見張る。
「せ、石化せぬだと・・・っ!?」
確かにハンコックの技を受けたはずの目の前の男。
しかし、何事も無かったように平然と立っている。
その肌は石色ではなくしっかりとした人間の色。
慌ててハンコックは男から離れ、再び構える。
(何故じゃ!?今までにこの技を平然と逃れたのはルフィだけ・・・!!)
男は静かに抜いた刀を鞘に収める。
「お前が食った、メロメロの実」
「!?」
突如述べ始めた男にハンコックは警戒する。
だが男は特に何をするわけでも無く、その悪意に満ちた笑みをより一層深め、述べ続ける。
「その実の能力者に見惚れた者は石にされてしまう。だがな、その能力には盲点がある。それは・・・・・・」
「・・・・・・!!」
「その術中の者に想う奴がいる。お前の事など目に入らねェくらいな」
「なっ!?」
(ば、馬鹿な!!)
男の言葉に思わず体制が崩れかける。
(わらわの美しさの前ではその想いすらも失せるはず!!なのにこの男は・・・・!!)
「き、貴様!一体誰を思って・・・・・・・・・!!??」