ゾロ×ルフィ

□誰かは誰かの物である*
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「あー、こいつァどうもみなさん。ウチの妹がいつもお世話に」
『や、まったく』

ここ偉大なる航路のサンディ島沿岸。
この島特有の眩しい太陽が海に浮かぶメリー号を照らす。
そのメリー号に、かつてない訪問者が訪れていた。
麦わらの一味は先程この男に助けられた。

そうこの人物は―――――


「エース、何でこの島にいるんだ?」
「ん?何だお前ドラムで伝言聞いたわけじゃねェのか」
「ドラムで?」
「あー、いいさ別に。大した問題じゃねェからな」

そう、エース。
今この海の頂点に立っているとされる“白ひげ”海賊団の二番隊隊長であり、


この麦わらの一味の船長、



モンキー・D・ルフィ、彼女の兄である。





「とにかくまァ、会えてよかった。おれァちょっとヤボ用でこの辺の海まで来てたんでな、お前に一目会っとこうと思ってよ」

彼はルフィより3年早く海に出た。
故に、未だ“この海”の序盤に居るとは考えられない。
彼は逆走してきたのだ。その身一つで。

そこまで言うと、エースの顔付きが変わった。
口元は先程と変わらず、口角を上げた余裕を思わせる笑み。


だが、彼の目は真っ直ぐにルフィを捕らえる。


「ルフィお前・・・、ウチの“白ひげ海賊団”に来ねェか?もちろん仲間も一緒に」
『!!??』

突如のエースの勧誘に仲間たちは驚きの色を隠せない。
だが、当のルフィは、

「いやだ」
「プハハハ・・・、あー、だろうな。言ってみただけだ」

即刻拒否。
エースもルフィの答えなど既に分かっていたらしい。
元の笑みに戻し、明るく笑う。





のはずなのだが










その笑みは何処か・・・・









エースはポケットから何かを取り出す。
そしてそれをルフィに投げて寄越す。

「なんだ。紙きれじゃんか」
「そうさ、その紙きれがおれとお前をまた引き合わせる」

何かは小さな紙切れだった。
特に変わった所は無いのだか、エースがそう言うのだから何かしら意味が有るのだろう。
ルフィは物珍しそうにその紙きれを眺める。

「へー・・・」
「いらねェか?」
「いや・・・いる!!・・・・なあ、エース」

貰った紙切れをポケットに仕舞い、ルフィはエースを見上げる。

「なあ!やっぱ茶でも飲んでけ!!」
「はあ?」

蔓延の笑みでエースを引き留めるルフィにエースは頭を抱える。

「お前に会いに来たのはついでなんだよ」
「おれもっとエースと話してェんだ!!久しぶりに会ったんだぞ!?」
「だから・・・」
「エース!!なあ、良いだろ!?」

参ったな。

エースから思わず溜息が漏れる。
自分の妹の性格などもう既に熟知している。
この調子だとどれだけ言っても聞かないだろう。
案の定、ルフィはその大きな双眸で此方をじっと見上げてくる。




変わってねェな。何も




「・・・わかった。まあ、茶はいらねェけどな」
「にしししし!!やった!!」


ついにエースは折れた。
まあ、こういう勝負でエースは一度も勝った試しが無い。

「ああ、それならそこの部屋を使って!」

ナミが指差すメリー号の一角にエースは歩き出す。
そして其の侭その部屋に入っていった。

後を追いかけるルフィ。
その部屋に向かって走り出す。
が、


「おわっ!!??ゾ、ゾロ!?」


突如彼女の細い腕をゾロががっちりと掴む。

「どうした?ゾロ」
「・・・・・・・」
「ん?・・・・あ、もしかして!」

ルフィは自分を掴んだ手を空いた手で掴む。
そしてその腕ごとゾロの体を自分に引き寄せる。

「なあ、ゾロ!お前・・・妬いてる!?」
「・・・・・・」
「妬いてんのか!?妬いてんだろ!?なあ!!」
「・・・・ったく」

ゾロは一つで溜息を吐く。
何を思ったのか、自分を掴むルフィの手を振り払う。
そしてその手でルフィの頭をを掴み、ルフィの顔を己の顔に近づける。


「・・・・ああ、妬いた。悪いか」
「でもエースは兄ちゃんだぞ?」
「でも男だろ」
「にしししし!ったく、しょうがねェ奴だな!大丈夫だ!ゾロだけだから!」

嬉しそうに笑うと其の侭ルフィはゾロの左頬に軽くキスをする。

「・・・・・そうやっていつもお前は・・・・」
「ん?なんだ?」
「何でもねェよ。ほら、行ってこい」
「おう!行ってくる!」

そしてルフィは部屋へ向かって行った。
しかし、送り出したゾロだったが未だその心は晴れない。

決してルフィを信じていない訳では無い。


だが、あの兄は・・・・・


あの瞬間のアイツの顔は・・・・





「もうバカップルが。公衆の面前でやめてよね!」

ルフィが部屋に入った後もその方を眺めるゾロの頭にに後ろからナミが拳骨を落とす。
思わぬ後頭部への攻撃に、ゾロは前によろめく。

「ナミ!テメェ、何しやがる!!」
「それはこっちのセリフよ!アンタ達、この海に来てからイチャつき度が酷い!」
「何が悪い?」
「全部悪い!しかもあんな嫉妬丸出しにして!見せつけられてるコッチの身にもなって!」
「見なきゃいいだろ」
「ああ!!何なのよ!もう!!」

再び殴りかかろうとするナミを慌ててウソップとビビが止めに入る。
ゾロはお構い無しにルフィの入った部屋の方へ視線を戻す。




「・・・・・・」
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