黒狼

□03
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ポーションとかその他諸々旅に必要な物も揃え終わり、適当に街中をぶらつく。


『あ、こんなとこに裏路地が・・・』


ドン


「わっ!」

「わりぃな坊主!」


少し先で互いにぶつかったトンガリ帽子の子と4本腕の男。


『・・・・・・』


たった今路地に来たかのように4本腕の男とすれ違う。


ドン


「わりぃな、おじょ


チャキ


ヒィッ!;」

『おいこらてめぇ・・・さっきすれ違った子から盗った金全部出しやがれ。』

「な、何のこと、ヒィッ;」

『とぼけるな。私はしっかり見ていたからな・・・早くしないと、ご自慢の腕が無くなるぞ・・・?』

「わわわ悪かった!返す!だから命は助けてくれ!」


差し出された手には一掴みのギル。


『これで全部か?』

「あ、あぁ、全部だ。」


ここまで怯えてるんだ。
本当にこれで全部なんだろう。


『このお金はあの子に返してくる。・・・なぁ、生きるためだからって、子供からは盗るな。盗るならもっと悪どい顔した大人にしとけ。』

「(ゴクッ」

『それと、』


トサッ


「これは・・・?」

『1000ギル。その中に入ってる。それやるからさっさと失せろ。』


そう言えば、男は慌てて去った。


『・・・久々にブチギレた。』


城の中は平和だったからな、うん。


『じゃなくって、早くあの子追いかけなきゃ・・・』


路地を走り抜け、家が立ち並ぶとこに差し掛かった時、トンガリ帽子が見えた。


『おーい!そこのトンガリ帽子の子ー!』

「わ!(ビクッ」

『あ、ごめんな?驚かせちゃったか。』

「あ、あの、僕に何か?」

『あぁ、君のお金を返しに来たんだ。』


彼の手に、ギルの入った小袋を乗せる。


『さっき4本腕の男とぶつかっただろ?その時に盗られたんだ。』

「そ、そうだったの?」

『うん。気を付けなよ?あぁいうとこは危ないから。』

「分かった。ありがとう、お姉ちゃん。」

『どういたしまして。えっと・・・』

「ビビ。僕の名前はビビ・オルニティア。」

『ん、ビビな。私はアヤカだ。』

「アヤカお姉ちゃん、本当にありがとう。」

『クス、気にするな。』


くしゃりと頭を撫でてやる。


『っと。もう行かなきゃ。またな、ビビ。次会えたらもっと話そう。』

「うん!バイバイ、アヤカお姉ちゃん!」


アヤカが見えなくなるまで手を振り続けたビビ。


「あ!お金財布に・・・え。」


小袋の中には、明らかに所持金より多いお金。
それと、メモが1枚。


“盗られたお金+1000ギル入れといた。もう盗られないように。”


「・・・アヤカお姉ちゃん、優しいなぁ。」


大事にメモも財布にしまった。






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