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□<童話パロ>シンデレラ
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あるお城に、お姫様がいました。
『羊さん、ミルクティーどこ?』
「名無しさん御嬢様、"執事"に御座います。ミルクティーなら、先程お飲みになられましたかと。」
『じゃあサトツさんでいいよ!』
「え!?」
……と、天真爛漫な性格でした。
外見としては美しく賢く、優しく見えたため、たくさんの人に好かれた様です。
これはあくまでも表の話ですが。
「それよりお嬢様、今夜の舞踏会で決定なされますか?」
『…なんだっけ。』
「前にもその前にもそのまた昔にも言いましたが、婚約者選びです。」
『要するに最後の7文字を言いたい訳だね!』
「どちらかというと、私としては最初の文を言いたいところで御座いますね。」
そう、この日は舞踏会。
名無しさんは今日で婚約者を決めなければなりませんでした。
.
やがて夕暮れも過ぎ去り、夜がきました。
会場のホールは綺麗な音楽でいっぱいです。
『サトツさーん、ミルクティーどこー?』
「朝も申しましたが、お嬢様がお飲みになられました。」
『ん、そうだっけ。』
今夜の主役、名無しさん姫は自室で寛いでいました。
『ちょっと眠いから30分寝るね。おやすみー!Have a good sleep!』
「……いいでしょう。まだいらっしゃらない方もいますので。」
お姫様の執事は部屋を出て行きました。
舌打ちが聞こえたようならそれは空耳です。
何と言っても空耳です。
『妖精さん、ご苦労様。』
名無しさん姫はベランダへ近づきます。
「何だ、お気づきだったのか◆」
上から降り立ったのは、妖精…という設定の人物でした。
その妖精は両頬にペイントをして奇妙な服を着ていました。
一般人ならかなりひく人物といったところ。
ですが、名無しさん姫はむしろ近づいていきます。
『ほい、報酬のビスケットだよー。食え食え』
「キミは相変わらず人を変人扱いしてくれるね♣」
『あはは!自覚していらっしゃらないのね変人さん?』
「そんなキミも十分変人だけど♥」
『いっそ妖怪に転職したら?』
お姫様と妖精さんはすごく親しい仲のようです。