HxH Short
□カフェオレが良い
1ページ/1ページ
頭の片隅にあったあのCMソングがふいに頭を横切った。
「カフェ○ーレが、飲みたいーのー」
「…名無しさん?」
「強いコーヒーもいーいけどー」
「………」
「優しーいミールクもスーテキーなのー」
気分が良くなり、次のフレーズを口ずさもうとする。
「あのさ、」
「何?」
「それって誰の事?」
「……へ?」
キルアが少し不満そうに尋ねた。
返答するしかないようだ。
「普通に考えてねー、」
「うん」
「コーヒーがキルアでミルクはゴンでしょ。」
「えっ、俺ミルクなの?」
「当たり前でしょ」
キルアは満足そうに笑うが、一方のゴンは唇をとがらせていた。
ミルクが嫌というよりも、強いコーヒーになりたかったらしい。
「ま、ゴンより俺のほうが強いし。」
「キルアは優しくないじゃん。」
「あ?んな事歌詞に書いてねーだろ」
「それを言ったらミルクだって弱いなんて書いてないよ。」
「え、え?待ってよ、ねえっ」
ゴンとキルアの間に挟まっている私が可哀相に思えてきた。
歌詞の続きのフレーズを歌う。
「し、白黒つーけなーいカーフェ○ーレっ!」
「……」
「……」
「…あれ?」
ゴンとキルアは私を見つめた。
何ともいえない重さの沈黙状態。
「名無しさんはミルクが好きだよね?」
ゴンが私の右腕をそっと抱きしめた。
そんな顔で言われたら否定できなくて困る。
「う……うん!優しいもんねっ」
「でも名無しさんの1番はコーヒーだろ?」
キルアが私の左腕を強引に引き寄せた。
そんな目で見られたら緊張してNOがいえない。
「…や、やっぱり強いからね!」
駄目じゃん、どっちかにしないと。
い、いや、でも選べないし…。
「名無しさん、どっちがいいの?」
「ちゃんと選べよ」
二人の顔が段々迫ってくる。
ぷるぷると腕が震えてきた。
「わ、わたしはっ、」
「「わたしは?」」
「カフェオレが一番好きぃ……っ!」
二人は唖然として口を開けた。
そんな表情に私は苦笑いをするしかない。
「そ、それじゃ、私一人で特訓してくる!」
「俺も付き合うよ!」
「どけよゴン!名無しさんには俺がいいんだよ!」
嫌な予感しかしない。
私の最高速度で逃げ回ろうかな。
「だって、選べないよ!!」
( カフェオレが良い )
( ミルクもコーヒーも大好きだから、 )