HxH Short
□残酷少女
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夜になり、日も暮れた。
一日中遊んでいた俺はそろそろ頭を切り替えなければいけない。
「キル、今日の仕事場所はこれだよ。」
部屋に入ってきた兄貴に渡された一枚のメモ。
そこにはパソコンからプリントアウトした地図と手書きの住所が記されていた。
こんな簡単な場所くらい、俺だって分かるのに。
「……あ、それと。今日は他にメンバーが一人いるから。」
「ああ、分かった。」
足手まといにならないように、と言い残して部屋を去っていった。
俺が足手まといになんてなる訳ない。
ゾルディックと名乗ればそいつもビビって仕事ができたもんじゃないだろう。
少し大きめの黒のフードを頭に被せ、家を出た。
***
ポケットの中の地図通りの目的地に到着した。
もう一人のメンバーとやらは見当たらない。
家の中から歓声やら雑音やらは聞こえるが、外に人気は無い。
しかし、円を使って周りを調べると小さな気配が感じられた。
目をやった先にはか弱そうな少女しかいなかった。
「…もしかして、お前なの?」
「さっきから此処にいるでしょう。さっさと始めましょう。」
「待てよ。あんた本当に殺れるのかよ。」
「貴方こそ、本物なの?」
「はあ!?俺はゾルディッ「黙って」……っ!」
年は同じくらいなのに口だけは一丁前ってか。
どうせ、俺の実力を見たら言い返せなくなるに決まってる。
舌打ちをするが、彼女はそれを聞く前に軽くベランダへ飛び乗った。
俺も後を追って反対側へ飛んだ。
「貴方がそこ等の輩より実力がある事は知ってる。だから、作戦は立てない。」
「好きにやれって?」
「ええ。まあ、邪魔になるようなら別だけど。」
「そっちこそ邪魔すんなよ。」
二人とも同時に気配を消して中へそっと忍び込んだ。
念は一応出来るらしい。本気を出せば俺のほうが上だろう。
三階建ての家らしい。
しかし、一階までが筒抜けで見えるようになっていた。
一階では金持ちらしい老人がテーブルの奥へ座り、中年から赤子までの年層がずらりと並んでいた。
前を向くと、少女がこちらを見つめていた。
少し睨んでやると人差し指でつんつんと下を指して合図した。
気に入らないが、仕方ないのでこくんと頷く。
すると、彼女の殺気が露わとなった。
じっと見下すような目で人々を上から観察している。
先程までとは別人格だ。
「……!!!!」
下の方から声にならない喘ぎが微かに聞こえた。
気づけば、彼女はもう目の前にはいなかった。