OP Short

□Money
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「百人力の魚人サーレム!やや高めの250万ベリーで落札です!!」


観衆がまた歓声をあげ、拍手で称えて賞賛する。
此処では、糞つまらない事を何時もやっているのだろうか。

名物として見には来たが、そろそろ飽きてきた。
ベポも鼻風船を出してすやすやと眠っている。


「続きましてはー…可愛らしい容姿の少女!名をリズといい、素晴らしく雑用を綺麗にこなします!」


ステージに新しく立ったのは普通のガキ。
十代の中盤といったところだろう。

この年にして怯えるでも喚くでもなく、ただむすっとして頬を膨らませている。

随分可愛らしく見えるものだから買い手達はどよめいた。


「人間の女ですので50万ベリーからスタートです!」


次々とあがる手とサインで会場は熱狂した。

少女は相変わらず不機嫌そうに目線を外している。
中々面白いガキだ。


「どんどんと値が上がってきております!少女リズも恥ずかしそうに俯いていますねえ!」


どっと笑いが浮き出た。
俺にとってはこいつのどこが恥ずかしそうなのか分からない。

すると、少女は手錠を外そうとギリギリと力を入れ始めた。
今更じゃあ、もう遅い筈だ。


「え、ええ!?お、おい!やめ…!!」


ガシャン!!


ステージ上の少女は客なんて気にしていない風に堂々と手錠を壊していた。
呆気に取られる司会者と観客。

少女の貧弱な身体と細い腕のどこに手錠を素手で壊す莫大な力があったのか。
もしくは、どんな卑怯な魔法で外したのか。

いつの間にかベポの鼻風船もパチンと壊れていた。


「く、首の鎖は取るなよ!もし取ったら、そいつは爆発するんだぞ!!」

「ありがとう。でも、もう知ってます。」

「…ちょっ、何を」


ドカン!!


少女は難なく首輪を砕いた。
そして、何らかの能力で爆発を包み込む。

その時に俺は見方を変えた。

こいつはただのガキじゃねえ。
もう立派な能力者だ。


「おい、追うぞ。」

「ア…アイアイキャプテン!」


少女は驚嘆の視線を素通りして近くの壁を爆破した。
凄まじい悲鳴が上がる。


「い、今すぐ海軍を呼ぶ!無法者だ!!」


一目散に出口へと詰め込む人だかり。
少女はそれを横目に壁に出来た穴から脱出した。

俺達は気づかれないように後を追った。



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