V i o l e t !
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走り始めて4時間ほど。
そろそろ暇になってきたとき、ゴンが後ろの人影を気にして立ち止まった。
『どーしたの?』
「おい、ほっとけよ。早く行こうぜ。」
実は私もキルアに同感かも知れない。
でもゴンはしばらく疲れきった人影を気にしていた。
すると、何かボソっと声が聞こえたような気がした。
「絶対ハンターになってやらああああっ!!」
『ひぅっ』
「うおらああああああ!!!!」
猛ダッシュで走り出したかと思えば私達も抜いてしまった。
さっきまでのあれは何だったんだろうね。
ゴンが持っていた釣竿で遠くの鞄を拾い上げる。
「かっこいー!後で俺にもやらせてよ!」
「スケボー貸してくれたらね!」
約80kmほど通過した地点、ペースが上がっていた。
階段でだと正直きついと思う。
脱落者が出てもおかしくない。
「なあ、誰が先にゴールできるか競争しないか?」
『いいよー』
「いいよ!買った方がごはん一回おごりね!」
ちょ、ごはんおごりとか。
「よーい、どん!!」
.
予想通り、脱落者がちらほらと。
脱落するのは構わないけど真ん中で脱落しないでくださいよ。
「俺のペースについてくるなんて、結構やるじゃん。」
「そう?えへへ…っ」
ゴンが可愛かった。すごく。
「ハンナも女の癖によく来れたよな。」
『あったりまえーっ』
「…っていうか、皆のペースが遅いんだなー」
ハンター試験が楽勝だとか何だとか呆れているキルア。
こんな12才は他にいないかもなー。
「ねえ、キルアは何でハンターになりたいの?」
「俺?別にハンターになんかなりたくないよ。」
『え?』
「物凄い難関だって言われてるから、面白そうだと思っただけさ。けど拍子抜けだな。」
『ゴンは?』
「俺はさ、親父がハンターなんだ。それで、俺も親父みたいなハンターになりたいと思って。」
「ふーん……親父ってどんなハンター?」
分かんないと能天気に答えるゴンを見ると安心してくる。
こんな会話をしている間にも、脱落者は増えていく。
「ハンナはどうなの?」
『私はねー……何だろうなー?』
「ぷっ!」
「え、まさか暇つぶしとか?」
『うーん……簡単に言えば、人を救いたい。』
ゴンとキルアは顔を見合わせた。