V i o l e t !

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「ハンナ、ゴン」

「え?」

「もっと前に行こう」


一瞬、試験管を見失わないためかと思ったが違った。
強い殺気を感じる。
殺している時のお母さんみたいな感じ。


『…あの奇術師から離れないとね。』

「ああ、あいつの傍に居るとヤバいぜ。臭いで分かる。」

「臭い?ふーん…」

『殺られちゃうかもねー』


ゴンは純粋に後ろに居るレオリオとクラピカを呼んだ。
すると、先に行けと返事が返ってくる。


「行くぞ、ゴン。」

「あ、待ってー!」


私達はそのまま霧の中を突き進んでいった。
地面もぬかるんでいて、なんだかこの湿原は気持ち悪い。

気のせいなのか分からないけれど、四方八方から悲鳴が聞こえてくる。


「何だか、あちこちから悲鳴が聞こえてくるけど……」

「油断するなってことさ。」

『クラピカさん達だいじょぶかなー…』


人の心配してる場合じゃないよね。
心配性のせいなのか、下が暗くみえる。



『…って、気のせいじゃないっ!?』


そのまま何かの中へ真っ逆さま。
何だろうこのハンター試験って。


「ハンナ、ハンナっ!!」

『あぅ、もう……』

「良かった、大丈夫なんだね。」


と、その途端にいきなり後ろから生ぬるい液が襲った。
それに押されて明るい方へと投げ捨てられた。

ぶるぶる頭を振るった後に後ろを見ると、馬鹿でかい蛙が遠ざかっていった。


「俺達、口に合わなかったみたいだね。」

「これだよ。」

『あ、それトンチンパーさんのだ!』

「何だよトンチンパーって!!」


あ、間違えた。トンパさんだったね。
トンチンカンのクルクルパーって覚えてたから混ざっちゃった。


「やっぱり、レオリオ達が心配だな…」

「いいから先を急ごうぜ。今から追いかければ、まだ間に合う。」


私はそのままキルアの隣を走っていった。
またさっきみたいに蛙に食べられるなんて嫌だもんねーだ。


「よっしゃ、集団に追いついたみたいだぜハンナ!」

『やったーっ!これで脱落しなくてすむよね……ってゴンは?』

「…あれ、あいつどこ行ったんだろ?」


ゴンがいつの間にかいなくなっていた。

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