V i o l e t !
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合格者は87番、一人だけ。
周りがほとんど男で良かったと初めて思った。
いろいろ周りがざわめいている。
「それにしても、合格者一人はちと厳しすぎやせんか?」
どこからか、声が聞こえてきた。
上を見上げると、ハンター協会の飛行船。
するといきなり下に誰かが下りてきた。
砂埃が邪魔になる。
ネテロ会長といい、審査委員会の会長らしい。
その人と向き合うとメンチさんもおとなしくなった。
「よし、ではこうしよう。試験管は続けてもらう。ただし、新しい試験には君にも実演という形で参加してもらう。というのは如何かな?」
確かに、これならできなくても納得いくだろう。
え、てか合格した私はどうなるの?
「尚、ただ一名合格した87番の合格は引き継ぐとしようかの。」
再試験の内容はゆで卵。
さっきのより簡単じゃないか。
即、その会場のマスタチ山まで飛行船で向かった。
.
「下を見て。」
言われたとおり下を見る。
…失神しそう。さっきの合格してよかった。
イヌワシの卵が巣にかかっていて、下まで飛び降りなければいけないらしい。
実際にメンチさんがやってみせてくれた。
「こういうの待ってたんだ!」
ゴンが言い出すと同時に、4人とも真っ逆さま。
お願いだから死なないで。生きて帰ってきて。
ゴン達に続いてたくさんの人が谷間へと落ちていく。
だが、人数が増えるばかりで目的の風は一向に吹く様子が無かった。
『う、わ』
そろそろ糸が切れてしまいそう。
風を待つのをやめ、自分から落ちてしまう人もいた。
「おぉ……」
谷間からの風が私の髪を揺らした。
すると、下からゴン達が卵を持って上がってくる。
「ハンナ、ただいま!」
『おっかえりー!』
.
持ちかえった卵は全て、鍋で茹でてゆで卵となった。
無事に帰ってきたそれぞれの者にそれが与えられる。
…勿論、私の分なんてどこにもないけど。
『おいしそー…いいなー……』
「ああ、まさに幻の卵だな」
『いいもん、非常食食べてやるから。』
「…んな意地張んなよハンナ。」
『いいよね、クラピカさんとレオリオさんは自分のがあるからねー』
二人を睨んでやった。
どうせ私なんて非常食の乾パンとお菓子で十分だもんねーだ。
「ハンナ、俺のやるよ。」
『え、キルアくれるの?』
「何かかわいそーだし。」
『…いただきまーす!』
パクっと卵を一口食べた。
…すごく濃厚で、そこらへんのやつとは違う。
普通に言ってしまえば美味しい。
「ハンナそれは……所謂間接キスじゃねえか?」
『ぶっ!…違うよね、キルア?』
「………」
『…嘘だ。』
まさかの年下と間接キスをしてしまったらしい。
別にキルア嫌いじゃないからいいけど。