V i o l e t !

□05
1ページ/3ページ



第二次試験に合格した42名は、夜空を飛ぶ飛空船の中にいた。


「残った42名の諸君に、改めて挨拶しとこうかの。わしが今回の試験委員会責任者のネテロである。」


何だか分からないけれど、とにかく偉い人らしい。
そばにいる緑色の人はビーンズというみたいだ。
うん、まさに豆だね。

本来なら最終試験から登場するはずなのだが、なぜか同行するらしい。


「えー、次の目的地には明日の朝8時に到着予定です。食堂に、食事もご用意致しました。」


え、ご馳走?やったーっ!
さっきのゆで卵の屈辱を晴らしてやる。

到着するまでは自由に時間を使っていいらしいから、食べつくしておこっかな。


「よし、飛行船の中探検しようぜ!」

「うん!ハンナは?」

『お腹空いたからパスー。』

「んじゃ、食べ終わったら探してね!」


私が探すの?2人で迎えに来て頂戴よ。
私は足早に食堂のほうへとひとり向かった。


.


「よお、ハンナ!随分食べたなー。」

「お前は本当に女か?」

『し、失礼な!』


これから本番だってのに、来ちゃった。
クラピカさん何気に失礼すぎる。


『まだまだ食べるんですから。』

「げ、まだ食べんのか?」


そう言って、私は皿を持って席をたった。
これからメインをとってくるつもり。


「…ハンナ。」

『何でしょうか?』

「敬語は使わなくともいい。私達も同じ受験者だからな。」

『……クラピカりょーかい!』


その時、クラピカの顔が少し赤らんだような気もした。
でも最近あんまり目良くないからなー。


.


八分目で食べるのを一旦終えた後、私はゴンとキルアを探しに出かけた。
細長い通路を出ると、上空からの綺麗な夜景が目に飛んでくる。

思わずうっとりしてしまった。

私も昔、こんな飛行船に乗ったことがあったような。
お母さんの手を離して、はしゃいだような。

…あ、いけない。探さないと。


「おい、待て坊主。」

「ぶつかっといてしかとかよ。」


後ろから二人の男性の声が聞こえた。
私は何事かと思って声のするほうへ歩いていく。

すると、こちらへ歩いてくるキルアに向かって男2人が走ってきた。
恐ろしい結果が待ち受けている。


『やめて!!』


私はすぐさまキルアと二人の間へ入った。

と、その瞬間に私の首筋をキルアの手が抉った。
たった一瞬、激痛が走る。


「ハンナ…?」

『この人達、何かしたの?』

「いや、別に………何も。」


後ろを向くと二人の男は一目散に逃げていった。
私の首筋には真赤な血の後だけが残っていた。


次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ