V i o l e t !
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第二次試験に合格した42名は、夜空を飛ぶ飛空船の中にいた。
「残った42名の諸君に、改めて挨拶しとこうかの。わしが今回の試験委員会責任者のネテロである。」
何だか分からないけれど、とにかく偉い人らしい。
そばにいる緑色の人はビーンズというみたいだ。
うん、まさに豆だね。
本来なら最終試験から登場するはずなのだが、なぜか同行するらしい。
「えー、次の目的地には明日の朝8時に到着予定です。食堂に、食事もご用意致しました。」
え、ご馳走?やったーっ!
さっきのゆで卵の屈辱を晴らしてやる。
到着するまでは自由に時間を使っていいらしいから、食べつくしておこっかな。
「よし、飛行船の中探検しようぜ!」
「うん!ハンナは?」
『お腹空いたからパスー。』
「んじゃ、食べ終わったら探してね!」
私が探すの?2人で迎えに来て頂戴よ。
私は足早に食堂のほうへとひとり向かった。
.
「よお、ハンナ!随分食べたなー。」
「お前は本当に女か?」
『し、失礼な!』
これから本番だってのに、来ちゃった。
クラピカさん何気に失礼すぎる。
『まだまだ食べるんですから。』
「げ、まだ食べんのか?」
そう言って、私は皿を持って席をたった。
これからメインをとってくるつもり。
「…ハンナ。」
『何でしょうか?』
「敬語は使わなくともいい。私達も同じ受験者だからな。」
『……クラピカりょーかい!』
その時、クラピカの顔が少し赤らんだような気もした。
でも最近あんまり目良くないからなー。
.
八分目で食べるのを一旦終えた後、私はゴンとキルアを探しに出かけた。
細長い通路を出ると、上空からの綺麗な夜景が目に飛んでくる。
思わずうっとりしてしまった。
私も昔、こんな飛行船に乗ったことがあったような。
お母さんの手を離して、はしゃいだような。
…あ、いけない。探さないと。
「おい、待て坊主。」
「ぶつかっといてしかとかよ。」
後ろから二人の男性の声が聞こえた。
私は何事かと思って声のするほうへ歩いていく。
すると、こちらへ歩いてくるキルアに向かって男2人が走ってきた。
恐ろしい結果が待ち受けている。
『やめて!!』
私はすぐさまキルアと二人の間へ入った。
と、その瞬間に私の首筋をキルアの手が抉った。
たった一瞬、激痛が走る。
「ハンナ…?」
『この人達、何かしたの?』
「いや、別に………何も。」
後ろを向くと二人の男は一目散に逃げていった。
私の首筋には真赤な血の後だけが残っていた。