V i o l e t !

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「ご、ごめん、ハンナ!!ハンナを殺るつもりは全く無かった!」

『それは別にいいよ。出ちゃった手を止めるなんて難しいしね。』

「き、傷……大丈夫なのか?」


私は髪を除けて首筋を見せた。
そこは抉られる前の状態とほとんど同じ状態。

ただ違うのは血のあとが残っているだけ。


『私の身体、変でしょ?』

「…え?」

『一瞬痛みを感じたらね、すぐ回復しちゃうの。まぁ、血は出ちゃったから後が残るけどねー。』


キルアはそんな事がある訳が無いとでも言いたそうな表情。
そうだよね、元はこんなじゃなかったらしいけど。


『ま、今は痛くも痒くも何ともないよ!』

「…ほんとに?」

『あんな傷、痛かったら叫んでるよー。』

「……はー、良かった。」

『で。』

「?」


まだ言いたいことは言ってない。


『どうして殺そうとしたの?』

「…それは、ぶつかったらあっちが来たから。」

『んじゃーキルアが悪いんじゃない?』

「ごめん。」


いいよいいよーと軽く流して手を振った。
そんなに気にしないでほしいけど。


.


ゴンと分かれた後、俺は一人で部屋へ戻る。
あのジジイ、何つー足してんだよ。

これ以上関わると殺ってしまいそうだ。


「おい、待てよ。」


どうやら誰かにぶつかったらしい。
構ってたら面倒くさいことになるからしかとした。


「ぶつかっといてしかとかよ!」


前方から足音が聞こえた。
後方からも二人ほどの走る音が近づいてきた。

あーもー、めんどくせぇ。殺っちゃおっかなー。
そう思って後ろに腕を振るわせる。


『やめて!!』


どこかで聞いたような声。
予想もしない手応えが返ってくる。
手を止める事なんてできやしなかった。


「ハンナ…?」


俺の腕が動いたとき、ハンナは前にいたはず。
何でこんなに素早く移動できたんだ?

ハンナの首筋には、血の痕がついていた。


「ご、ごめん!ハンナを殺るつもりは無かった!」


だがハンナは首の傷を気にする様子も無く、俺に激怒する様子もない。
話を聞くと、ハンナの身体は一瞬の苦痛を感じたら即回復してしまうらしい。

こんな話、普通は信じられない。
いつの間にかハンナは俺に手を振って向こうへ行ってしまった。

…どうしてだろう。
あの時ハンナが男を庇わなければ痛みは感じなくて済んだはず。

あぁ、確かあの時も人を助けたいって言ってたっけ。
まさか、自分の身体で庇って人を助けるって事か?

それは俺からみたらただの馬鹿娘だよ、ハンナ。
何でそこまでして人を助けたい?


…俺には、ハンナの意図が分からない。

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