V i o l e t !

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相手は、ろうそくでどちらが火を長くつかせていられるかで勝負を持ち込む。
ゴンは即行OKしてしまった。

それで、現在長いろうそくか短いろうそくかで悩んでいる。
たぶんこれも時間稼ぎなのだろう。


「ゴン、お前が決めろ!私達はそれに従う!」

『まあそれが一番ねー。』


結局、何も考えていないゴンは長い方を取った。
決定すると、2つのたいまつが低くなる。

ゴンも相手も同時に火をつけた。


『うー、何も無いの?』


その瞬間、ゴンのろうそくがいきなり火を大きくした。
げ、やっぱり何かしてたんだ?


「うわ、あっつ!」

『……何てことしてくれんの、可愛いゴンに。』


そんな事を言っている間にも、ゴンのろうそくはボタボタとろうを落としていく。
可哀相で見てらんないような。


「……火の勢いが強いってことは、ちょっとの風じゃ消えないよね。」


ゴンはそのままろうそくを置いて相手のろうそくを息で消してしまった。
なるほど、頭が冴えてるね。


「やったー、勝ったよ!」

『おめでとー!』


えへへ、何か微笑ましい。


「よし、次は私が行こう。」

『がんばってねーっ』

「ああ。」


この調子ならクラピカも勝つかもなー。
でもまあ、私も勝たなきゃいけないけどね。

クラピカの相手は、まだマントをしていた。


「げ」


レオリオが声を発したので振り返ると、太くて青い手足に妙に歪んだ顔の男が現れていた。
何だこの人。


「すげぇ体…」

「と、顔。」


クラピカを相手に喋り散らして勝手に勝ち誇っている。


「俺は命のやり取りじゃなきゃ、満足できねぇ。半端な勝負は受けねえぜ。」


クラピカが勝負の方法を相手に任せると、デスマッチを提案してきた。
それを承諾すると今度は武器の使用を禁止させた。

話ばっかで進まないよ。


「おいおい……大丈夫かよクラピカ?ありゃ、相当ヤバそうな相手だぜ…」

『…たぶん、大丈夫じゃないかな。』

「どうして?」

『あの人、さっきから喋ってばっかりだもん。戦うのが楽しみなハズなのに、早く戦いたいとは思ってない感じー?』

「そうだよね、俺も何かぞくぞくしないや。」


ゴンがいうぞくぞくって何だろう。


『わぉ、っ』


男は高く拳を振り上げて、クラピカを攻撃する。
クラピカは素早く除けたが、地面は穴が開いて粉々だ。

そして男は、なぜかクラピカに背を向けた。


『………』

「12本の足を持つ蜘蛛の刺青。あれは…」


"幻影旅団"。すぐに頭の中を一瞬で過ぎった。
あの人も、旅団だったんだ。

……死んで無いだけ、あの人はマシだね。

クラピカは先程とずっと変わらない体制のまま俯いていたが、すぐに立ち上がった。


「はっははは、どうした?声も出ないか?俺様は旅団四天王の一人、マジタニ!一発目は挨拶代わりだ。」


マジタニがまた喋り始めると、クラピカがまっすぐ前を向いた。


「な、何だ?お前……」


そう呟いた時、クラピカはもうそこにはいなかった。
気づくとマジタニを殴り、気絶させていた。

キルアが口笛を鳴らした。
クラピカが3つの忠告をし、横たわった体を睨みつけた。
その3つの忠告は全て旅団に関するもの。

よくみると、クラピカの目は紅く染まっていた。


「ま、当然ちゃー当然だよね。」

「うん…」


道が再び開いて、クラピカが帰ってきた。
レオリオが心配すると、クラピカは顔を俯けて反省していた。

やっぱり、旅団に関係して何かあったんだ。
クモは見せないようにしよっと。

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