V i o l e t !

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「じゃあ早速始めようか」


コクリと頷くと同時に、両者は銃を相手に向けた。
シーンとした静けさの中には刻一刻と迫る残り時間、緊張。


「撃たないの?」

『そっちこそ。』

「じゃあ、俺が先に撃っちゃおー」


バンっと発射された弾丸は、私ではなく横を通り過ぎていった。


『や、危ない!!』


バッと後ろを振り向くと、ゴン達がいる入口付近の壁に穴が開いていた。
分かった。あいつは私を狙っていない。


『…そゆこと。』

「君が俺に攻撃しようものなら、俺が君の仲間を撃つよ。…誰にしようかな?」

『ふーん。』


ゴン達には撃ったら確実に死ぬ。

…じゃあ、私に撃ったら?
おそらく貫通はしない。ちょっと深くいくだけ。
ああそうか、そうすればいい。


『じゃあ、』


念を使って足に力をやる。
自分でも分からないほどの速さで、相手の銃の口を塞いだ。
それと同時に、胸に自分の銃をあてる。


「ひっ……い、いいのか?お前が撃ったら俺も撃つぞ?」

『平気。すぐ終わるから我慢して。』


バン!

静けさを一気に打ち砕いて粉々にした。
相手は確実に死んだと思われる。


「あらら、死んじゃった?」

『さっきみたいに確かめますね。』


男の後ろ襟を掴んで端まで持ってくる。


『落ちたら死んでいる、落ちなかったら生きている。で、いいですね?』

「…結構。」


パッと手を離すと、男は暗闇へと落ちていった。
自分の兄を落としたかのようで、少し心が痛んだ。


「これで3勝2敗だな。」


クラピカが静かに言った。

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