V i o l e t !
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四日目の清々しい朝。
ターゲットはもう既に確保し、現在に至る。
『よっ…と』
座ってボーっとするのはやめにした。
手で膝を払い、リュックを背負う。
食物探しに森に行ってきまーす!
.
……という軽い気持ちで来た筈。
だよね?過去のハンナ聞いてる?
「今のキミはボクに生かされている◆」
少し高い崖から見えた光景。
倒れそうなゴンと振り向くヒソカ。
「キミがもっと強い使い手に育つまで。」
そう聞こえた直後鈍い音がしてゴンが吹っ飛んだ。
ヒソカの手は上を向いている。
そしてゴンはうつ伏せに倒れた。
『ちょ……っ』
恐る恐る小さな崖を飛び降りる。
「ゴン!」
私の呼びかけにも答えなかった。
頬の赤い傷を睨んでいるように見えた。
ああそっか。ゴンだもんね。
『だいじょぶ?』
「うん。」
むすっとした顔で答えられても。
とりあえずゴンを立たせて安全地帯へ。
.
事情は終始全部聞いた。
大木の中の小さな空洞では声も木霊する。
触れている右肩は暖かい。
『私、この間ヒソカに会ったんだ。』
その一言に反応し、ゴンは目を丸くした。
「戦ったの?」
『ううん。話しただけ。』
「そっか…良かった!」
『??』
「ハンナはか弱いからねー」
そういう風に見えるのかな、私って。
あ、でも実際そうかも知れない。
ゴンは他にも特訓した事、学んだ事などを得意げに話す。
私にはその内容よりも、楽しそうなゴンに惹かれた。
「でも鳥は逃がしてあげたんだ!……ハンナ?」
『…うん、聞いてるよ!』
「じゃあ今なんて言った?」
『ごめんなさいボーっとしてました。』
ぷくっと頬を膨らませた後、もう一度同じ事を話す。
ゴンの身振り手振りで揺れる肩は私にぶつかる。
あれ?こんな事想像してる私って……
『す、き……?』
「どうしたのハンナ?」
いやいやゴンは好きだけれども!
恋愛的なI love you的な感じじゃないの!
ちょっとそこんとこ分かってるの私?
恋愛フラグとかあんまり立てないで。
『フラグとか言ってる場合じゃないよ!』
「…落ち着いてハンナ!!」
ちょっと意味が分からなくなってきた。