V i o l e t !
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「さて諸君、ゆっくりと休めたかな?まあ、一名気絶した者もいたようじゃが。」
はい、私です私。It is watashi.
一瞬クラピカと目が合ったが、一瞬で逸らされた。
もとから見てたのはクラピカでしょうよ。
「此処は委員会が経営するホテルじゃ。全ての試合が終わるまで君達の貸切となっておる。」
会長が言い終えると、隣から幕を掛けたホワイトボードがやってくる。
「では最終試験じゃが…一対一のトーナメント形式で行う。」
ファサっと幕を取ると、トーナメント表が現れた。
でも、普通のとは何処か違う。
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ABCDEFGHIJ
A*294/ハンゾー
B*405/ゴン
C*58/ポックル
D*99/キルア
E*301/ギタラクル
F*101/ボドロ
G*404/クラピカ
H*44/ヒソカ
I*408/レオリオ
J*87/ハンナ
このトーナメントは敗者が上へ上がっていくシステム。
頂点となった者だけが不合格となるらしい。
こんなの楽勝だもんね。
最初のレオリオのヤツは負けてあげよっかな。
.
第一試合開始前。
「昨日クラピカと何かあったの?」
キルアが覗き込むようにして聞く。
別に何も無かったよ、というのは在り来たりの交わし言葉だけど。
『ううん、お話してただけ。』
「嘘だね。話してただけなら気絶なんてしない。」
『気絶したのはクラピカと関係無いよ。』
キルアから目を逸らすようにして前を向いた。
そこをキルアは見逃さない。
「何かされたんだろ?」
『・・・何もされてないですー』
髪の擦れ合う音がして、額と額がくっついた。
同じ位の身長だから顔も近くなる。
そんなに近づかないで。
『わ、分かったから……やっ』
きゅっと抱きしめられて熱くなった身体。
幸い通路には誰もいない。
「俺、昨日見ちゃったんだよね。抱きしめられてるとこ。」
『…嘘ついてごめんなさい。』
「そーゆー事じゃなくて。」
腕に変な力が入って、頭に血が昇ってゆく。
今まで知らなかったキルアの匂いが漂う。
変な感じ。クラピカの時もそうだった。
「鈍感だから分かんないだよ、ハンナには。」
『は、はにゃし、て』
少し泣きたくなった。何も悪い事はしてない筈なのに。
「俺ってさ、ハンナが……」
後に続いた二文字の言葉はもう聞き取れなかった。
キルアの腕から開放されたような気がして、慌てたような声が聞こえた気がした。
(二度目の気絶か、)