V i o l e t !
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「キルからのメッセージをそのまま伝えましょう。」
「"来てくれてありがとう。すごく嬉しいよ。でも今は会えない。ごめんな。"」
初めて見るキルアの家族に、少しわくわくしてしまった。
予想とは違う容姿にときめきを隠せない。
「(あの娘、どこかで…)」
「?(何だろ、私の顔に何かついてるのかな…)」
憶測だが、キルアの母親は私をまじまじと見た。
隣の小さな着物の女の子はその様子を不思議そうに見る。
「そこのお嬢さん、ファミリーネームは何かしら?」
「……それは、お答えできません。」
「(この娘、隠している…。やっぱり、あれの血の繋がった娘だわ。)」
女性は何かを確信したように一人で頷き、背中を向けた。
「…貴女とは、訳あってあまり仲良くできないわ。」
「訳……?」
「ええ。貴女のお母様と…ね。」
言い放ったまま、凄いスピードでどこかへいってしまった。
どこにいるの、私のお母さん。
***
空からの夕日が少女の顔に照りつける。
目を覚まさない彼女の顔は少し不安そうで。
「…大丈夫、かな。」
「ああ。少し気を失ってるだけだ。」
レオリオは医者志望だけあって、判断は的確だった。
確かにそう見える。
「言っちゃあ悪いが薄気味悪い連中だな。キルアが会えないって言ったのも嘘くせえ。」
「ゴン、このまま戻るの?」
「ううん、進みたい。でもそうすると、きっと彼女が責任を取らされるような気がするから。」
「あ、確かに。」
「…私が、執事室まで案内するわ。そこなら、屋敷に直接繋がる電話があるから。」
先程まで横たわっていた少女が突然目を開いた。
頭を痛そうに押さえ、起き上がる。
「だ、だいじょぶですか?」
「ええ。ゼノ様がお出になられれば……あるいは、」
「ゼノ様って?」
「キルア様のお爺様です。」
「へーえ……」
暗殺者のお爺さんって。
それにしても聞いたことのあるような無いような。
何でだろう。