短編

□Devotion and blindness.
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「おお。相変わらず不機嫌面晒してんなー。」

自分の姿を認めた顧客は右手を上げて自分の存在を主張した。
指定された場所は、この日の為だけに装飾された巨大な樅の木の下。

こんな巨大な木に装飾をするとは手間のかかりすぎる事を。
どうせ明日には取り払われてしまうというのに。


そんな事を考えたからだろう。相手は「おいおい聞いてんのか?」と私の目の前まで来て顔の前で手を振る。

「微妙な所だな。貴様は間抜け面を相変わらず晒しているようだが。」

「聞こえてんじゃねーか…。」

心配して損した。と言う顧客を鼻で笑い、私は本題を切り出した。

「で?私の作品を損傷させてしまったという前科をお持ちのお客様は一体今日は私に何の御用でしょうか。」

嫌味たっぷりにだが。
明らかに客に接する態度じゃないだろうと言われるだろうが、私の態度は基本こうだ。
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