長編
□第四話
1ページ/11ページ
「どうしたものか…。」
最近、独り言が多い気がする。
同行者がいないからそれは仕方がないのだろうが、こう誰にともなく呟くという行為は自覚すると誰が気にするわけでもないのだが、何やら気まずい気がするから不思議だ。
先程いた街から続いている街道を歩きながら眉間に皺を寄せながら難しい顔をしている彼女をちらちらと見やる者は多い。
「どうするか…。」
再び独り言。
一度ため息を吐いて立ち止まり、街道脇の林に入る。
道から姿が見えないような位置で一本の木の太い枝に座る。
その移動は一瞬だ。