長編

□第五話
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歩くと決めたのは彼女自身。

それは彼女がよく知っていた。
だが、その後の事を考えなかったのも事実なのだ。





「死ねぇえ!」


随分と直接的な、もう完全に彼女にとっては聞き慣れてしまった声がアリエラに向かう。


「そうだな頑張れ。」


ぼそりと誰にも聞かれないように呟かれた、全くやる気の無いアリエラの声がすると直後に聞き慣れた男の呻き声がした。
見れば床に突っ伏している。


昼飯時に現れ、勝手に騒いで勝手に伏している男に何人かが視線を向け、首を傾げながらもまた己の食事へと戻る。

アリエラ自身が手を出しているのだが、それが物理的にではないので当事者以外には理解しがたい光景だ。

更に彼女と男との距離が大分あったので、男は完全に変な人間を見る目で見られている。
 
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