長編
□第七話
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「何だったか。一難去ってまた一難、とかいうやつか?」
人間は結構的を射ている言葉を創るものだと感心した。
毎日恒例の死ねコールがなくなりそれなりに順調な旅路を歩んでいたアリエラだった。
まあ、もしすぐに追いついたのなら彼女はあの魔法使いの男を人間と見なしていいものか迷う所だろう。
特に何かに煩わしい思いをさせられることなく進んでいたのだからそれなりに機嫌は悪くなかった。
それも既に過去形になってしまったのだが。
彼女の目の前には、どこから見ても善良とは言えない男だらけの集団。
だがしかし、アリエラは言いたかった。
瞬時にこの人間達がどういった事を目的としているのか理解した時から言いたくなったのだ。
「こんな田舎で野盗やら盗賊やら追い剥ぎなんざ、大した利益にもならんだろう。やるならもっと大きい街道でやってくれ。」
非常に面倒だ。
そう言葉通り果てしなく面倒臭そうな顔をして、虫でも払うかのようにシッシッ、と手を動かす。
確かに彼女の言う事にも一理ある。
あるのだが、そんな競争率も狩られる割合も高い場所でこんな事が出来れば最初からしている。
その根性も覚悟も無いからこそ、このような片田舎でしているのだ。