中編

□第九話
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「当たり前ですけどすっごい人ですねえ。」

留置場のある建物の陰からすぐ近くにある領主の館を見てエクじゃない、エタンセルさんが呟く。どーでもいいが言いづらい。

「…何だかみっちりって感じですね。」

その形容はあながち間違いではないと思う。
正面の門から扉までにはお前らそれだと動けねーんじゃねーの?と質問したいほど人口密度が高い。
タイムセールの時のおばさん並みと見た。

「面倒ですね。」

心底面倒くさそうに言うと彼は俺と一度建物の中に戻り裏口のような場所に回ってから、館の高い塀まで行く。
塀の外側に人はいない。
時折話し声が聞こえるだけだ。
塀に沿うように移動していき、正面の扉とは正反対の、館の裏まで行く。
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