短編

□Devotion and blindness.
1ページ/5ページ

呼び出しの場所に随分と趣味の良い場所を選択したものだ。


心中で毒づいてから緑と赤で彩られ、華やかな装飾や電飾のついた町中を足早に歩く。
ケーキ屋は忙しそうに立ち回り幸せそうな顔をした親子や恋人がそこかしこに溢れている。


自分のように一人で歩いている者もいなくはないのだが、如何せんそれらの歩みは浮かれたような華やかさから逃れるようで。

更に真っ黒な服に真っ黒なコートを着た自分はどの空気に溶け込めない異物のようで。


内心で舌打ちをしながらも多分険しい顔で目的地を目指す。


集合場所にわざわざこんな場所を選択した顧客の元へ。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ