短編
□忌避すべきもの
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数メートル先を歩く男の顔を確認してから、茶色い紙に赤文字でWarningと一番上に記されたものを少しだけ捲り、顔部分を確認した。
そして、その金額も。
男が手にしているのは指名手配書。
それも凶悪だとか極悪だとか、少なくとも友人にはなれそうにない人種が記されている物だった。
視線の先には手配書にある人物。
手配書の方では人相が少しばかり悪いが、実物はそれよりもずっと表情が柔らかで人殺しなどと言われても首を捻ってしまいそうな程である。
実際男も首を捻った内の一人なのだが、人は見掛けによらないという言葉もあるし、冤罪である可能性も皆無ではない。
まあその内分かるだろうと、男は指名手配犯の尾行を続けた。