短編
□赤
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真っ赤な地面で真っ赤な夕日を浴びて。
ここはまるで赤の世界だ。
自嘲の笑いを口に張り付けあいつを探す。赤に埋もれたのか自分が遠くまで来たのか。
赤で閉じられた左目を無理やり開けて見てみれば左側だけが完全に赤の世界。
何も動かない場所で自分だけが動いている。
早くあいつを探して血を拭って飛んだ腕を拾って繋げてあいつ自身の剣を持たせて送り出さなくては。
自分は自分の命が尽きるまであいつのいないこの世を壊す事にひたすら心を砕こう。
背中と右腕が燃えるように熱いけど平気だ。不思議と痛みは感じない。
…お前が持って行ったのか?
痛くはないが流れた赤が足にまとわりつき粘着質な音が足元から聞こえるのが神経に障る。
だが足を止めるつもりはない。
探さなくては。